2011 Fiscal Year Annual Research Report
0.1nm変位での転がり摩擦挙動の特性解明と超高精度位置決め制御への応用
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22760202
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Research Institution | Toyota National College of Technology |
Principal Investigator |
田中 淑晴 豊田工業高等専門学校, 機械工学科, 講師 (70455137)
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Keywords | 超精密位置決め / 直動転がり案内 / 非線形摩擦モデル |
Research Abstract |
直動転がり案内を用いた位置決め装置にて,サブナノメートルレベルの変位領域での転がり摩擦挙動を解明するため,リニアモータ駆動の装置にて微小変位領域における摩擦挙動の測定を行った.フィードバック制御用の34pm分解能を有するリニアエンコーダによって変位を測定し,そのときに生じる印加力はモータへの電流指令値を基にて算出した.直動転がり案内の減衰に関する項目については,インパルスハンマリング試験を実施した結果,加振する大きさによって減衰の大きさが変化し非線形となることが分かった.そのため,減衰パラメータが加振力の大きさに依存するまたは変位の大きさに依存するとした数式を考慮し,非線形摩擦モデルにおける減衰パラメータの同定法の確立を目指し実験を行った.最初に,荷重による摩擦特性の影響を調査するため,0~160kgまでの錘を載せて実験を行った.その結果,推力と変位の関係を表す非線形ばね特性と呼ばれる特性に及ぼす影響は小さいことが分かった.また,それぞれの荷重条件において,一定送り速度を0.1~100mm/sの間で変化させて摩擦力を測定したところ,荷重が大きくなるにつれて推力(摩擦力)が小さくなる結果を得た.従来から提案してきた非線形摩擦モデルでは,この特性を表すことができないことがわかった.また,ナノメートルレベルの変位領域においても,上記摩擦モデルでは,ばね関数特性が一致しないことが分かった.これらのことを踏まえ,新たなばね関数と速度変化に関する関数の2つを提案した.そのことにより,非線形ばね特性は100nm以下の微小な変位領域でもおおよそ推定することが可能となった.また,送り速度の影響を受ける特性については,1mm/s程度で極大値を持つような特性についてもおおよそ推定することが可能となった. 非線形摩擦モデルに用いられる各パラメータの自動同定法の確立を目指し,遺伝的アルゴリズムを基としたパラメータ調整法を試行している.
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Research Products
(3 results)