2011 Fiscal Year Annual Research Report
省エネ機器開発のための圧縮応力下での歪み波鉄損推定法の開発
Project/Area Number |
22760212
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮城 大輔 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10346413)
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Keywords | 電磁鋼鈑 / 鉄損推定 / 圧縮応力 / 直流偏磁 / 歪み波鉄損 / マイナーループ / ヒステリシス損 |
Research Abstract |
損失の少ない高効率な回転機や変圧器などの電力機器を実現するために,高透磁率,低鉄損の高グレードの電磁鋼鈑を用いた実機が開発されているが,これら実機の損失は,設計時に有限要素法などにより求めた推定値より大きくなり,高効率機器の設計を効率良く行えていない。この相違の大きな要因は加工時や焼嵌めなどにより印加される応力による磁気特性の劣化であると考えられる。さらには,実機はインバータを用いて励磁されるためループ,キャリア高調波などによるマイナーループが多数発生するため,圧縮応力下でのマイナーループによる鉄損の評価および推定が重要となる。 本研究において,面内方向に圧縮応力が印加された電磁鋼鈑の直流偏磁下における準静的ヒステリシスループ(励磁周波数:5mHz)を測定する装置の開発を行った。本測定装置は,電磁鋼鈑中の磁界をガウスメータにより,磁束密度をフラックスメータにより測定する。測定ごとに消磁を行い,さらに測定器のオフセットおよび積分器のドリフトなどを自動で修正する高精度な測定システムの開発を行った。この装置を用いて無方向性電磁鋼鈑JIS35A360の初期磁化曲線上のマイナーループによるヒステリシス損の圧縮応力依存性の測定を行った。測定結果より,以下の知見が得られた。 初期磁化曲線上マイナーループ鉄損(ヒステリシス損)は,面内方向の圧縮応力の有無に係わらず直流偏磁が1.5T付近の領域で最大になり,それよりも大きくなると減少する。また,圧縮応力を5MPa印加するとマイナーループ鉄損の増加率は減少し,直流編磁が1.5T以上では,圧縮応力を印加しても鉄損はほとんど増加しない結果が得られた。以上より,大きな圧縮応力が印加された場合は,高磁束密度領域でのマイナーループ鉄損増加率がそれほど大きくないため,考慮しなくて良いと考えらえる。
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