2011 Fiscal Year Annual Research Report
樹脂系複合材料を一次構造材として用いた次世代航空機における電磁干渉解析技術の研究
Project/Area Number |
22760220
|
Research Institution | Electronic Navigation Research Institute |
Principal Investigator |
二ッ森 俊一 独立行政法人電子航法研究所, 監視通信領域, 研究員 (20551211)
|
Keywords | 電気・電磁環境 / 樹脂系複合材料 / 航空機 / 炭素繊維 / 数値解析 / FDTD / 遮蔽 / CFRP |
Research Abstract |
次世代航空機の主要構造材(一次構造材)として炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の樹脂系複合材料が注目を集めている。本研究は、これらを一次構造材として用いた航空機において、これまで未知である航空機内外の電磁環境特性の解明を目的とし、従来アルミニウム合金製航空機との機内外電磁環境特性の違いおよび電子機器が航法装置に及ぼす電磁干渉影響を詳細検討するための解析技術について研究を行う。具体的には、次の3項目について実験と数値解析の両面から研究を進める。 1、樹脂系複合材料で構成された構造体の遮蔽特性および伝搬特性の測定・定量化技術 2、樹脂系複合材料構造体の数値モデル化および妥当性検討 3、樹脂系複合材料を用いた航空機の機内外電磁環境および経路損失の解析推定技術 平成23年度は、昨年度に引き続き樹脂系複合材料の遮蔽量(シールド効果)を取得するため,様々なCFRP積層板の100MHz~6GHzにおける電磁界遮蔽量を詳細に測定評価した。具体的には、直交繊維配交材である平織材を用いたCFRP積層板、および航空機構造材等に用いられる擬似等方性積層構造を有するCFRP積層板の電磁界特性を明らかにし、これまで未知であった多層積層構造における特性を明らかにした。さらに、CFRP積層板で構成された立方体の内部電界値および外部漏洩電界値を検討するために、材料定数測定を実施した上でCFRP構造体およびCFRP積層板を設計し、電磁界特性の測定評価を行った。また、樹脂系複合材料を主要構造材として用いた航空機の例として、CFRP製胴体等を数値モデル化した小型航空機モデルを適用したFDTD数値解析検討を実施した。ここでは主要構造材をCFRP積層構造とした小型航空機モデルを用い、機内外電磁界分布をFDTD数値解析で推定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の樹脂系複合材料について様々な構造を試作し、その電磁界特性の測定評価を実施した。ここでは実際の航空機等の構造材に用いられる擬似等方性積層構造を有するCFPR積層板の特性も明らかにしており、学会発表および論文発表を実施した。さらに、CFRP積層板で構成された立方体の内部電界値および外部漏洩電界値等の電磁界特性を取得しており、今後成果発表予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、CFRP製胴体等を数値モデル化した小型航空機モデルを用いたFDTD数値解析について、より詳細なモデル化を実施し、測定結果との比較を行う。CFRP構造体内部に電磁波を発生する機器を設置した場合を想定し、構造体内外の電磁界強度および干渉経路損失のFDTD数値解析評価を行う。また、従来金属製の構造体モデルについても上記評価を実施し、航空機構造体として用いられた場合の基本特性の違いを検討する。さらに、CFRP積層板の電磁界特性評価についても、次年度も継続して検討する。
|