2010 Fiscal Year Annual Research Report
積層膜型有機EL素子内キャリア挙動のリアルタイムその場観察・解析手法に関する研究
Project/Area Number |
22760227
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田口 大 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特任助教 (00531873)
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Keywords | 電界誘起光第2次高調波発生法 / マックスウェル・ワグナー効果 / 有機EL / 空間電荷電界 / 誘電物性 / 電界計測 / フィルタリング / 時間分解測定 |
Research Abstract |
時間分解EFISHG測定系を構築し、基本的な測定技術の確立を行った。2層積層膜型有機ELデバイス(α-NPD分子をホール輸送層、Alq3分子を発光・電子輸送層に用いる)を評価するため、α-NPD単層膜デバイス及びAlq3単層膜デバイスを作製し、SHGスペクトルの評価を行った。そして、入射レーザー波長を選ぶことでα-NPD中の電界を選択的に評価できることを示し、2層積層型有機ELデバイスの界面電荷挙動の評価が可能であることを実証した。SHGスペクトルとしてはα-NPD、Alq3のほかにも、代表的な有機EL材料であるTPD分子がSHG活性であることが確認できた。続いて、電荷蓄積の効果が小さい単層膜デバイスのEFISHG測定をレファレンス試料とすることで、有機EL材料ごとの電界-EFISHG光強度の対応を数値化して定量的に電界分布を評価できることを実証した。そして、時間分解測定技術と組み合わせて電界分布の過渡変化を計測可能とする装置を構築し、α-NPD/Alq3積層膜による2層積層有機EL素子中の電荷蓄積・減衰挙動を時間領域10ns~25msの範囲で得ることに成功した。データ解析には過渡波形解析手法としてフィルタリング法を採用し、その有効性を確認した。また過渡EL測定光学系も構築し、EL発光挙動とそれに至る電荷挙動の測定を実現した。 以上の成果を受けて、2層有機ELデバイス中の電荷挙動の電圧依存性をまとめ、Maxwell-Wagner効果素子として解析し、キャリア挙動を説明できることを示した。また、ポリイミド電荷ブロッキング層を用いて電子(又はホール)のみ注入する2層積層素子のEFISHG測定も行い、発光を伴うELデバイス(ホール・電子注入あり)と発光を伴なわない2層デバイス(ホール注入のみ)の場合の界面キャリア挙動の違いを実験により明確化した。
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