2011 Fiscal Year Annual Research Report
積層膜型有機EL素子内キャリア挙動のリアルタイムその場観察・解析手法に関する研究
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22760227
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田口 大 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特任助教 (00531873)
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Keywords | 電界誘起光第2次高調波発生法 / マックスウェル・ワグナー効果 / 有機EL / 空間電荷電界 / 誘電物性 / 電界計測 / フィルタリング / 時間分解測定 |
Research Abstract |
本年度は、構築した電界誘起光第2次高調波発生(EFISHG)法による測定系を用いて積層有機EL素子内部のキャリア挙動の測定を実施した。測定結果について下記項目1,2の観点で検討した。 1、「界面分極消失プロセスとキャリア移動度・トラップ電荷挙動の関係を明確化」 2層有機EL素子のEL交流周波数特性を測定することにより、空間電荷蓄積によるEL発光現象をとらえるとともに、実際に空間電荷蓄積が生じていることをEFISHG測定によって確定することができた。これは、トラップなどの原因により界面に蓄積した分極が消失せずにとどまるために空間電荷電界が生じてキャリアを電極から引き込みEL発光に至るプロセスで、その原因である界面電荷が確かに蓄積していることをEFISHG法により実験で明確にすることができた。また、トラップがある場合の有機膜輸送特性がEFISHG法により測定できる電界分布の過渡変化の形に現れてくることも実験からわかった。 2、「界面分極形成プロセスと有機EL発光現象の関連の明確化」 時間分解EFISHG測定で得た有機EL内部の電界分布の過渡変化を界面分極形成プロセス(マックスウェル・ワグナー効果)として解析した。電圧印加時のEL発光輝度が印加電圧のDC成分により界面分極を形成し、輝度特性に影響していることがわかった。また、2層積層構造素子の発展形として3層積層構造素子についても測定を実施し、2つの界面に蓄積する電荷を時定数の違いから分離観測できることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電界誘起光第2次高調波発生(EFISHG)法を用いて、有機EL素子等の積層膜デバイスの界面に蓄積する電荷挙動を評価することができた。本年は界面電荷の蓄積・消失の測定・解析を主に進めた。測定技術も高まりつつあり、次年度の計画として挙げたEL輝度劣化現象に関する実験にスムーズに入ることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、EL輝度劣化現象と界面蓄積電荷の関係をEFISHG法による実験にもとづいて明確化する。EL輝度劣化方法は定電流劣化または高周波電圧印加による劣化を予定している。EL輝度劣化の前後のEL構造素子をEFISHG法で測定し、界面電荷の蓄積の過渡波形及び定常状態での蓄積電荷量を定量的に測定し、界面分極現象としてみたときのEL輝度劣化現象の明確化を進める。
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