2010 Fiscal Year Annual Research Report
不純物束縛励起子における電子励起状態の解明とスピン制御
Project/Area Number |
22760229
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原田 幸弘 神戸大学, 工学研究科, 助教 (10554355)
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Keywords | 電子・電気材料 / 半導体物性 / 光物性 |
Research Abstract |
GaAs中の窒素アイソエレクトロニックトラップなどの不純物発光中心に束縛された励起子は、ホスト結晶と不純物の組み合わせで決まる固有の電子状態によって特定の発光波長を示すため、多数の不純物発光中心が関与したスケーラブルな相互作用を利用できる量子状態と見なすことができる。本年度はまず、顕微フォトルミネッセンス測定によって、窒素をデルタドープしたGaAs中の窒素ペアに束縛された励起子からの発光が、均一幅よりも不均一幅の方が狭くなるほど高均一であることを実証した。続いて,発光強度が線形な励起光強度依存性を示す、1.444eV帯と1.493eV帯の発光線の起源となる励起子の局在状態の解明を行った。Faraday配置における磁気フォトルミネッセンス測定から見積もった反磁性シフト係数と、時間分解フォトルミネッセンス測定から見積もった輻射再結合寿命と短距離ポテンシャルを仮定した計算結果との比較から、1.444eV帯と1.493eV帯の発光線の起源となる窒素ペア構造がそれぞれ第一近接窒素ペアと第四近接窒素ペアであることが明らかになった。さらに、励起子微細構造の励起光強度依存性と直線偏光特性から、1.493eV帯と1.509eV帯の発光線の起源が、同一の窒素ペア構造に束縛された励起子と励起子分子であることを明らかにした。同一の不純物発光中心に束縛された励起子発光線と励起子分子発光線の同定は、励起子分子-励起子のカスケード発光過程を利用したもつれ光子対生成の実現に向けた重要な知見である。
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Research Products
(16 results)