Research Abstract |
光ファイバのクラッド領域にフォトニック結晶構造を有するフォトニック結晶ファイバは,その構造や導波原理の違いから,いくつかの種類に分類することができるが,本研究では,ソリッドコアフォトニックバンドギャップファイバと呼ばれる新しいタイプの光ファイバの有する特異な光学特性に着目し,その極限性能を明らかにするとともに,高度利用のための基盤技術を確立することにより,従来型光ファイバでは実現不可能なパッシブ光ファイバデバイス,さらには,従来の実現限界を超えたアクティブ光ファイバデバイスを開発することを目的として研究を進めた.平成23年度の研究では,前年度までに得られた解析結果に基づき,大コア径単一モードソリッドコアフォトニックバンドギャップファイバのアクティブデバイスとしての最適構造を明らかにした.コア形状としては,通常の単位セル1個(周期構造の1つの単位)を欠陥領域(コア領域)としたソリッドコアフォトニックバンドギャップファイバのみならず,単位セル7個をコア領域とした7セルコア型ソリッドコアフォトニックバンドギャップファイバや,単位セル19個をコア領域とした19セルコア型ソリッドコアフォトニックバンドギャップファイバを対象とし,曲げ印加時の実効的単一モード動作条件を詳細に調査した.また,ソリッドコアフォトニックバンドギャップファイバには複数の透過帯域(フォトニックバンドギャップ)が存在するが,コア径拡大と単一モード動作,および低曲げ損失特性の両立という観点から,各バンドギャップにおける光学特性を総合的に評価し,大コア径ファイバとしての最適な透過帯域(フォトニックバンドギャップの次数)を明らかにするとともに,ファイバ製造上の構造制御技術,およびファイバ使用時のコイル径等を考慮に入れたコア径拡大の理論的限界を特定した.さらに,設計結果に基づき大コア径ソリッドコアフォトニックバンドギャップファイバを試作するとともに,従来型の大コア径ファイバとの比較を行い,ソリッドコアフォトニックバンドギャップファイバの優位性を実験的に実証した.
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