2011 Fiscal Year Annual Research Report
液体誘電泳動を利用したフェムトリットル液滴の搬送・混合デバイス開発
Project/Area Number |
22760243
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久米村 百子 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (50533642)
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Keywords | 液体誘電泳動 / 液体搬送 / オープンマイクロデバイス / バイオリアクター |
Research Abstract |
本研究は、これまでのマイクロアレイ、マイクロ流体デバイスとは異なる、電気的な液体搬送方法による微少量のバイオ反応システムを提案・開発し、その有効性を検証するものである。すなわち、開放空間において、基盤上に配列した電極に電圧を印加することによってピコリットル程度の液体を基板上で移動させ(液体誘電泳動)、酵素の一分子反応など、微量な化学反応を行うデバイスの研究を行う。開放系で微少量溶液を取り扱うため、形成された液滴を他の研究にも利用できる。閉鎖系マイクロチャネルとの組み合わせが可能などの化学やバイオ分野などにおいて新しいプラットフォームを提供できると考える。具体的な研究計画として以下の2項目を設定した。(1)数百フェムトリットルの微小液滴の形成。(2)形成した液滴を混合し、反応させるようなデバイスの開発とバイオ実験応用。 23年度は、液滴混合・反応デバイスとバイオ実験実証のために、より低電圧において導電性の高い溶液を搬送するデバイス開発を行った。デバイス誘電層の誘電率や電極の熱伝導性に着目し、候補とした複数種類のデバイスについて液体駆動を試験した。また、電圧低減のために電極サイズを微細化し、幅2μmのラインを一般的なホトリソグラフィにより作製し、最小500フェムトリットルの液滴を形成できた。実験結果では、1x10^<-2> S/mの導電率の溶液を500kHz、200V程度におし}て駆動させることができた。この溶液は、DNAの緩衝液として用いられるTris-EDTAを10倍希釈したものに対応する。すなわち、既往の研究成果よりも100倍程度高い誘電率の溶液搬送を達成し、液体誘電泳動の化学・バイオへの応用可能性を強く示した。
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