2010 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンド半導体/強磁性体ハイブリッド構造による新規スピンデバイスの創製
Project/Area Number |
22760250
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
植田 研二 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10393737)
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Keywords | ダイヤモンド半導体 / 強磁性体 / ハーフメタル / スピンデバイス / ホイスラー合金 / スピン注入 / ショットキー接合 |
Research Abstract |
本研究では、ダイヤモンド半導体と強磁性体を融合する事により、スピントランジスタを作製する事を目的としている。本年度はその第一段階として、P型ダイヤモンド半導体薄膜の作製条件最適化と、ダイヤモンドを用いた強磁性ショットキー接合の作製を試みた。 まず、P型ダイヤモンド半導体の作製についてであるが、申請時にはイオン注入法によりP型ダイヤモンドを作製する事を検討していたが、その後、ダイヤモンド薄膜成長用のマイクロ波プラズマCVD装置を立ち上げた為方針を変更し、CVD法により作製を行った。市販のダイヤモンドIb基板上に、基板温度:700℃、マイクロ波パワー:1300W、ガス圧:50Torr、CH_4/H_2比:1%の条件で、ダイヤモンド薄膜を作製した所、P型伝導性が再現性良く得られた。これは、ダイヤモンド薄膜表面の水素終端により生じたP型表面伝導層によるものである。P型伝導層の室温シートキャリア濃度及び移動度はそれぞれ~1×10^<13>cm^<-2>及び~80cm^2/Vsとなったが、この値は報告値と一致しており、上述の作製条件で、高品質なP型表面伝導層が得られる事が分かった。また、このP型ダイヤモンド半導体薄膜を用い、ショットキー電極にCo_<87>Fe_<13>強磁性電極(室温での飽和磁化:750emu/cc、保磁力:144 Oe)を用い、ショットキーダイオードの作製を行った所、3桁程度の整流比を有するダイオードの作製ができた。順方向電流のバイアス依存性を熱放出電流モデルにより解析した所、バリア高さ0.72eV、理想因子2.3が得られ、良好な界面特性を有する強磁性ショットキーダイオードが作製されている事が示唆された。本研究は、ダイヤモンド半導体を用いた強磁性ショットキー接合に関する初めての結果であり、スピントロニクス分野で大きな意義のある結果である。
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Research Products
(31 results)