2011 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンド半導体/強磁性体ハイブリッド構造による新規スピンデバイスの創製
Project/Area Number |
22760250
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
植田 研二 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10393737)
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Keywords | ダイヤモンド半導体 / 強磁性 / スピン注入 / スピンデバイス / ハーフメタル / ショットキー接合 / スピントロニクス |
Research Abstract |
本研究では、ダイヤモンド半導体と強磁性体を融合する事により、新規スピンデバイスを作製する事を目的とした。計画として、(1)ダイヤモンド半導体と適合性の高い強磁性ハーフメタル材料の探索、(2)強磁性体/ダイヤモンド半導体ダイオード構造の作製と高効率スピン注入指針の確立、(3)ダイヤモンドスピントランジスタの試作と動作検証の3段階で進めることとした。2年間の研究で、主として以下の3つの成果を得た。 1.ダイヤモンドと適合性の高い強磁性ハーフメタル材料の検討を行い、ダイヤモンド上での強磁性ホイスラーハーフメタル(Co_2MnSi)がエピタキシャル成長する事を初めて見出した。成長温度を最適化する事で、エピタキシャル薄膜が得られ、配向関係は、Co_2MnSi(001)[100]//diamond(001)[110]となった。 2.水素終端ダイヤモンド半導体/強磁性体(CoFe, Co, Ni等)積層構造を用いた高品質強磁性ショットキー接合の作製に成功し、その障壁高さが強磁性体の仕事関数の選択により制御可能である事を明らかにした。ショットキー障壁高さの制御は高効率スピン注入の為に必須の技術である。 3.Niと高濃度ホウ素ドープダイヤモンド半導体を用いて3端子素子を作製し、スピン注入を試みた。3端子ハンル測定からスピン注入が為されていると思われる信号が得られ、注入信号の半値幅から見積もったスピン緩和時間は20pS程度となった。この値は高濃度ドープSi等の結果と比較すると1桁程度小さいが、今後、ダイヤモンド半導体の低欠陥化、界面高品質化等により改善を行う予定であり、これらから、より長いスピン緩和時間が得られ、スピントランジスタの実現に繋がると思われる。 これらの結果はダイヤモンド/強磁性体接合を用いたスピンデバイスに関する初めての結果であり、スピントロニクス分野でインパクトのある結果であると思われる。
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Research Products
(12 results)