2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機液体を用いた多原子分子イオン源の開発と極浅イオン注入への応用
Project/Area Number |
22760252
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 光明 京都大学, 工学研究科, 助教 (10552656)
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Keywords | 微細プロセス技術 / イオン注入 / イオン液体 / イオン源 |
Research Abstract |
本研究では、次世代半導体の要求される炭化物汚染フリーな極浅炭素クラスターイオン注入の実現を目指し、高電流・高安定な含浸型イオン液体を用いたイオン源を開発を目的としている。 これまでの予備的研究により、ニードル型及びキャピラリー型イオン源では液体供給や電界放出面の位置が不安定なためイオン放出に問題があることがわかっている。従って平成22年度は、安定なイオン放出が期待できる含浸型イオン液体イオン源開発の試作に取り組んだ。また、放出イオン種を特定するための飛行時間型質量分析計の可能なイオン源真空槽の製作も行なった。 含浸型イオン源を試作するにあたり、エミッタ材料とイオン液体との濡れ性が重要となるため、接触角測定により評価を行なった。イオン液体には1-butyl-3-methylimidazolium hexafluorophosphateを使用した。測定の結果、グラファイト、Cu、Ni、Wはそれぞれ約30°、約35°、50-60°、約65°の接触角であることがわかった。これらの結果から、加工性の良いCuとNiの多孔質金属を円錐型に成形してエミッタとし、含浸型イオン液体イオン源を試作した。イオン液体液溜めを有するエミッタを水平に配し、対向電極に電圧を印加して5x10^<-4>Paの雰囲気にてイオン放出特性を評価した。その結果、印加電圧8kVにて約10μAの電流を得て、試作した含浸型イオン液体イオン源の動作を確認した。また、陰・陽イオンビームの電流を観測した。しかしながら、イオン放出は未だ安定していない。この原因には、残留イオンによる電荷の非平衡化や、放出イオンの衝突による残留ガス圧力の上昇などが考えられる。放出イオン種を特定するため、飛行時間型質量分析計の可能なイオン源真空槽の製作も行なった。この真空槽には次年度作製する不要イオン同時除去式イオン液体イオン源を配置できるよう設計した。
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