2010 Fiscal Year Annual Research Report
軟・硬磁性交換結合パターン媒体へのマイクロ波アシスト磁気記録シミュレーション
Project/Area Number |
22760253
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 輝光 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (20423387)
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Keywords | 磁気記録 / 電子デバイス・機器 |
Research Abstract |
次世代超高記録密度ハードディスクドライブ(HDD)の実現に必要な新技術のひとつとして注目されるマイクロ波アシスト磁気記録(MAMR)では,高記録密度化に伴うマイクロ波磁界の高周波,大出力化がその潜在的課題とされている.本研究では上記課題の解決手法として媒体の硬・軟磁性交換結合構造化(Exchange coupled composite:ECC)に着目し,ECCピラーを想定したマイクロマグネティック計算を用いて磁化反転特性を推定した.小振幅マイクロ波磁界下における解析結果より,交換結合構造の磁気的共鳴現象は各部の共鳴現象に起因して複数の周波数領域に現れることが分かった.また,この特性を反映して直流磁界印加時における磁化反転領域も複数の周波数領域に出現することが明らかとなった.5Tbits/in^2超に相当する高磁気異方性材料を硬磁性部として想定した解析では交換結合構造化により軟磁性部の磁気特性を強く反映した強磁性共鳴現象を利用することで10 GHz,1kOe程度のマイクロ波磁界により磁化反転が可能となる結果が得られた.これらの値は軟磁性部を付加していない場合の10%程度であり,HDDに搭載可能なマイクロ波磁界発生源においても十分に発生可能なものと予測されることから,本結果はMAMR方式における超高密度化の実現性を示したものと言える.また,更に高い磁気異方性を有する硬磁性部を仮定した解析結果よりマイクロ波周波数,磁界強度の大幅な低減に効果的な軟磁性部の強磁性共鳴が生じ,磁化反転に必要なマイクロ波周波数は硬磁性部異方性磁界にほぼ依存しないことが分かった(通常は比例関係).一方,マイクロ波磁界強度については増加傾向にあるものの交換結合構造化により10~20%程度まで大幅に抑制されることを考慮すると,5 Tbits/in^2超の記録密度の可能性を示すものと考えられる.
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