2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760254
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
五箇 繁善 首都大学東京, 理工学研究科(電気電子工学専攻), 准教授 (80305416)
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Keywords | 超小型原子発振器 / CPT共鳴 / ラムゼイ共鳴 / マイクロ波発振器 |
Research Abstract |
超小型原子発振器を実現するために,低消費電力化と水晶振動子より数桁優れた周波数安定度の獲得を目指し,次の2つの課題に関しての研究を行った. [課題I]省電力化に適したレーザ変調周波数の選択 超小型原子発振器を実現する上で,マイクロ波発振器とその周辺PLL回路の電力が消費電力全体の半分以上を占めてしまう.この消費電力を削減するために,マイクロ波周波数を低減させる新たな手法の基礎的検討を行った.レーザ変調強度を上手く調整し,発生させるサイドバンドの2次成分(従来は1次成分を利用)を利用することで,マイクロ波周波数を1/2にし,マイクロ波発振器および周辺回路の消費電力を半減させる.CsおよびRbのアルカリガスセルを利用した基礎的実験により,1/2のマイクロ波周波数においても,良好に原子共鳴が観測出来ることを確認した.現在,レーザ変調度を吸収線プロファイルから推定する方法を検討中である. [課題II]小型化に適したCPT共鳴線幅の狭線化とS/N比の改善 原子共鳴のS/N比を向上させるため,励起用半導体レーザの出力波長を乱さずにパルス化し,共鳴振幅の増加と共鳴Q値を向上させ,周波数安定度(特に短期安定度)を向上させる手法に関して検討した.まずAOMを用いてレーザのパルス化を行い,原子共鳴にラムゼイ共鳴が観測できる事を確認し,最適なパルス幅に関しての検討を行った.次に,液晶を用いたレーザのパルス化に関しての基礎的検討を行い,レーザ波長に影響を与えずにパルス化が可能であることを確認した.現在,使用した液晶の反応速度があまり高く無いことから,より高速な液晶の利用を検討中である. 以上の2つの方法を組み合わせることにより,省電力化と高安定度を両立させ,1秒平均での短期安定度が10^<-12>台の高性能な超小型原子発振器の実現化を目指す.
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