Research Abstract |
本研究は,コンピュータと通信機能を有し,生体に装着可能な超小型高機能電子機器である"ウェアラブルデバイス"における新たな通信システムの基礎開発を行うものである.その手法は,生体を伝送路とし,1つのデバイスから超音波と微弱電界の両方を出力し,それらを併用したハイブリッド通信を行うものである,本手法は,"触れる"という直感的な動作により意識的に情報を選択して送受信可能で,電界通信の特長である生体の任意部位間で通信可能な便利さに加えて,特定条件下で通信範囲を限定可能な超音波通信を組み合わせることでセキュリティを高め,今後の普及が予想されるウェアラブルデバイスに関する応用が期待できる. 平成23年度については,前年度,試作した通信回路にハイブリッド通信の組み込みを予定していたが,搬送波の発生部分に問題が見られたため,その改良に主として取り組み,通信機能の組み込みを完了しなかった.平成24年度は引き続き本課題について取り組む.また,超音波通信により適した通信方式,プロトコルの検討について取り組んだ.本課題では,超音波通信が電界通信に比べ不安定要素が多いため,様々なディジタル信号の組合せについて送受信を行い,長いスパンで観測する必要がある.様々な状況下における通信状況を,ロングメモリオシロスコープを用いて観測を行った結果,長時間の超音波通信において超音波特有の音響特性(残響・残振動)により信号後半に与える諸影響は通信困難になるほどではなかった.したがって,本通信システムは現状の通信方式・プロトコルを基本的に変更せずに次の段階に進められることが証明された. 上記に加えて平成24年度については試作機の実用アプリケーションにより近づけたシステムへの拡張について取り組む.また,様々な使用状況を想定した実験を行い,実用化に伴う課題とその対策についても検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述のとおり,通信回路に諸問題が発覚したことから,ハイブリッド通信の組み込みが完了していないが,その点を除けば当初の予定通りである.平成24年度中に申請時に予定した課題への取り組みと完了は充分可能である.
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