2010 Fiscal Year Annual Research Report
究極の交流電圧発生を目指したジョセフソン電圧標準の研究
Project/Area Number |
22760259
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
丸山 道隆 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (30415947)
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Keywords | 交流電圧 / ジョセフソン効果 / 精密計測 / 超伝導素子 / 電子デバイス |
Research Abstract |
交流電圧の基準となる理想的な交流電圧波形の発生を自指し、現在開発中のプログラマブルジョセフソン交流電圧標準(ACPJVS)システムの詳細な評価を行った。このシステムでは、現在までに0.1Hzから2kHzまでの周波数で振幅約4Vまでのステップ近似された交流波形の生成に成功しているが、トランジェント・エラーと呼ばれる過渡現象が課題のひとつとなっている。まず、現行システムにおけるトランジェント・エラーの大きさを定量的に調べるため、デジタルボルトメータ(DVM)を用いたサンプリング手法による測定を試みた。ここで、信号周波数は約1kHzとし、DVMのアパーチャ時間は1ステップ幅(約16us)より十分小さい2usとした。ACPJVS用バイアス制御回路とDVMとの間で同期測定を行った結果、トランジェント幅の大きさに周期的な変化が見られ、信号波形のステップ位置に依存することが分かった。また、トランジェントの微分波形から、トランジェント波形が主ピークと、その前に位置する急峻なピーク、およびその後ろに位置するリンギングとから構成されていることが分かった。これらの結果から、現行システムにおけるトランジェント・エラーの原因として、バイアス制御回路のスイッチ時間、バイアス配線の帯域、およびデジタル/アナログ変換時のグリッチ等に起因していることが推測される。今回得られた最大トランジェント幅は、主ピークで2.0us以下、リンギングを含めても3.8us以下の大きさであり、DVMの離散的なサンプリングモードを用いた測定では現行システムにおいても十分な能力を有することが分かった。以上により、今回明らかになったトランジェント・エラーを考慮したサンプリング測定の最適化や、実効値測定を見据えたバイアス配線の広帯域化によるトランジェント・エラーめさらなる低減(~数ns)を目指す今後の方針が得られた。
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Research Products
(2 results)