2011 Fiscal Year Annual Research Report
高性能アンテナ開発を目的とした最適設計システムに関する研究
Project/Area Number |
22760260
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
田口 健治 北見工業大学, 工学部, 准教授 (60435485)
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Keywords | 情報通信工学 / シミュレーション工学 / アンテナ / 最適設計 / 電波伝搬 / 移動通信 / ユビキタス社会 |
Research Abstract |
情報社会の急速な発展に伴い、ユビキタス社会実現を実現するためには無線通信の高品質化・高速化が重要である。特にLTE、WiMAX等の移動通信、ITSを目的とした車車間通信等では高性能アンテナの開発が急務であり、その設計及び開発が盛んに行われている。本研究は、ユビキタス社会を支える高性能アンテナ開発を目的とした最適設計システムに関する研究である。今年度は上記目的を達成するため、以下の研究を行った。 1)最適化手法に関する研究 本研究のアンテナ最適設計システムの最適化手法は現在、AVM(Adjoint Variable Method)を用いている。しかし、昨年の研究において本手法を用いた最適設計システムでは、電磁素子の最適形状が初期値に強く依存する事が示された。そのため、汎用的且つ高精度な自動最適設計システムを構築するためには他の最適手法の検討も必要である。本年度はメタヒューリズティックアルゴリズムの一つであるGA(Genetic Algorithm)を用いた最適化に関する研究を行い、アンテナ最適設計適用の可能性を見出した。 2)移動体通信環境の把握 近年のMmO技術を用いた高性能アンテナにおいては、リターンロス、指向性等だけではなく実際の移動通信環境におけるフェージング、遅延時間等を考慮した設計が重要となる。本年度は、実際の見通し外通信環境における電波伝搬環境の調査を行った。具体的には、高性能アンテナの開発が求められているUHF帯自動車通信を目的とした住宅地及び市街地の実環境における電波伝搬メカニズムを明らかにした。 3)アンテナ指向性の距離依存特性の解明 指向性は無限遠方にて定義されるが、実際の測定では有限距離における特性しか得る事が出来ない。そのため、指向性の最適化・評価において有限距離における指向性が理論的な遠方界指向性に対して定量的どの程度異なるのかを把握することが重要となる。本年度は、実際のUHF帯自動車搭載アンテナにおいてアンテナ指向性の距離依存特性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AVMの基礎的検討に関しては多少遅れている部分も有るが、研究全体としては概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は高性能アンテナ開発を目的としたアンテナ最適設計のために、1)最適化手法に関する研究、2)移動通信における電波伝搬環境に関する研究、をより深めていく予定である。更に、近年のMIMO技術を用いた高性能アンテナにおいては、従来のアンテナパラメータであるリターンロス、指向性等だけではなく、実際の移動通信環境を考慮した設計が重要となる。今後は実環境におけるフェージング環境及び最悪条件となる理想的なレイリーフェージング環境を計算機内で実現し、3)アンテナ最適設計及び評価のためのフェージング環境シミュレータの開発も行っていく予定である。
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Research Products
(17 results)