2011 Fiscal Year Annual Research Report
無線通信基地局用 周波数・空間フィルタ一体型アンテナの研究
Project/Area Number |
22760261
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
本間 尚樹 岩手大学, 工学部, 准教授 (70500718)
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Keywords | アンテナ / 減結合回路 / アレーアンテナ / 相互アドミタンス / 分布定数回路 |
Research Abstract |
本研究は,携帯電話などの無線通信基地局用に対し,周波数・空間フィルタ一体型アンテナを適用することによって通信距離の伸長,伝送速度の向上を果たすことを目的としている.本年度は2素子以上の中型規模のアレーアンテナを試作しさらに,昨年度に考案した減結合回路の設計法をもとに実際の減結合回路を試作した.本設計法は,分布定数回路のみを用いた低損失・簡易減結合回路を実現するものであり,アンテナのアドミタンス行列に着目し,相互アドミタンスのみを抑圧することで減結合回路を簡易に構成することを可能にするものである.試作の結果,提案した減結合回路によって高い減結合効果が得られることが明らかになった.また,減結合回路が帯域幅に与える影響を評価したところ,整合特性には僅かな影響を与えるものの,概ね良好に動作することも明らかになった.従来より減結合回路の採用によってアンテナが狭帯域化することが知られているが,本測定結果は帯域への影響を与えないことを証明するものとなった.さらに,減結合回路の広帯域化法について検討を行った.その結果,マイクロストリップによるブリッジ回路の代わりに抵抗を使うことによって広帯域化が可能であることを数値解析によって明らかにしている.本構成法は,2素子以上のアレーアンテナへも適用可能である.このように,本年度は,減結合効果を実証し,さらにその改善検討として減結合回路の広帯域化が可能であることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題の目標は2素子以上のアレーアンテナに適した減結合回路を実現することであり,今年度は実際にアレーアンテナを試作し減結合回路の有効性を実験によって確認している.そのため計画は達成していると考える.一方,減結合回路の広帯域化という新しい要求が生じており,これに対して現在の技術をさらに進展させ,新しい減結合回路構成法を提案している.そのため,本年度は目標以上に研究が進展したと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を通して新しい減結合回路構成法を考案しており,帯域への影響が小さいなど,世界的にも新規性の高い成果である.本成果は海外に向けて論文としていち早く発表する.また,本研究課題はアナログ回路によって送受信間の回りこみを抑えるという技術であり,ディジタル技術と協調することによって更に高性能化が可能となる.この考え方を発展させると,アナログ制御によって通信品質をより改善することが可能になる.このように,アナログ・ディジタル協調技術として発展させ,革新的な通信技術を創出する.
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Research Products
(11 results)