Research Abstract |
本研究では必要なときに通信相手を起こすことで,受信待機電力の大幅な削減を目的とし,これを実現するためのウェイクアップインタフェースの設計と実装を目指した.ウェイクアップインタフェースは,消費電力が大きく,高速に通信できる通信モジュールと組み合わせて使用することを想定しており,通常はウェイクアップインタフェースのみを必要最小限の電力で動作させる.自端末宛の通信はウェイクアップインタフェースで受信されるIDにより識別され,IDが一致すれば,通信モジュールを起動して,高速通信を行う.この際,IDマッチング機構が低消費電力化における一つのポイントとなる.これに向け,本年度は,確率的データ構造を用いたIDマッチング機構,複数IDに対応するIDマッチング機構,およびアナログ回路までを含めたウェイクアップ機構の評価までを行った.具体的にはIDマッチング機構に検索技術で用いられるブルーム・フィルタを適用し,複数IDを単一のIDに縮退させつつ,高速にIDマッチングを行うことができる機構を設計した.また,設計した機構の消費電力を,回路レベルのシミュレーションにより評価した.この結果,IDマッチングに単純なID比較回路を用いる場合に比べ,ブルーム・フィルタを適用したIDマッチング回路の方が,ウェイクアップ機能の実現において低消費電力であることが確認できた.ブルーム・フィルタは確率的データ構造であるため,誤ウェイクアップが問題となるが,これを考慮した上で,通信系全体の評価を行ったところ,通信モジュールの消費電力が低くなればなるほど,本研究の方式が有利となる傾向が得られた.
|