2011 Fiscal Year Annual Research Report
周波数共用のための空間及び時間次元からの無線環境認識法
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22760266
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
梅林 健太 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 助教 (20451990)
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Keywords | 情報通信工学 / 先端的通信 / 周波数共用 / センシング |
Research Abstract |
本年度は,スペクトル観測に基づく電力制御による周波数共用法の開発,高精度で柔軟なプライマリユーザの占有率推定法,協調スペクトラムセンシングにおける効率的な観測情報収集法,そして周期定常性を用いた新しいスペクトラム利用状況の識別法を提案してきた。以下に,それぞれの概要を示す。 1:スペクトル観測に基づく電力制御による周波数共用法 電波伝搬モデルのモデル化を行い,それに対する送信電力制御に基づく周波数共用法の検討をまず行った。これにより,プライマリユーザの配置情報,セカンダリユーザの配置情報を持たずに拘束条件(プライマリユーザへの干渉電力に基づき設定したアウテージ確率)を満たしつつ、セカンダリユーザが効率的に周波数共用が実現可能であることを示した。 2:高精度で柔軟なプライマリユーザの占有率推定法 プライマリユーザの占有率を柔軟・高精度で推定する手法の開発を行った。占有率の推定には,簡易な電力検出を用いた。この場合,ノイズレベルに対して適切に閾値を設定することが課題となる。そこで,ノイズレベルをブラインドで推定する手法の提案を行った。これにより,ノイズ不確定性・ノイズレベルの時間変化に対してもロバストに占有率を推定することが可能となった。また,この手法は,プライマリユーザの周波数帯域幅が変化してもしれに対して追従可能であることが特徴である。 3:協調スペクトラムセンシングにおける効率的な観測情報収集法 周波数の利用状況を精度よく認識する協調スペクトラムセンシングのための効率的な情報収集法を開発した。本手法は、従来の通信方式とは異なり,複数ユーザが自由度1の無線リソースを共有する。この場合,ユーザ間の干渉が問題となるが、電力制御と位相制御により干渉の問題を軽減した。これにより,従来から問題とされて来た協調スペクトラムセンシングの情報収集のコストを大幅に削減できることが出来た。 4:周期定常性を用いた新しいスペクトラム利用状況の識別法 周期定常性を用いた環境認識法の検討も行った。従来のスペクトラムセンシングではあるスペクトラムがプライマリユーザによって利用されているか、そうでないかの判別を行って来た。これに対して本手法では、スペクトラムが誰にも利用されていない、プライマリユーザによって利用されている、セカンダリユーザによって利用されている、両ユーザによって利用されていることを明らかにすることが出来る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スペクトル観測に基づく電力制御による周波数共用法,協調スペクトラムセンシングにおける効率的な観測情報収集法に関しては予定通り検討と手法の開発が進んでいる.高精度で柔軟なプライマリユーザの占有率推定法と周期定常性を用いた新しいスペクトラム利用状況の識別法予定通りの検討では、新たな弱点が発見された。前者は、雑音レベルが時間等に対して変動する不確定性の存在,後者は周波数オフセットにより検出能力が大幅に変化することが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昨年度検討を重ねてきたスペクトラムの観測技術を多次元化し、評価することを目指す。まず、電力基準を用いた占有率推定法を協調型に拡張を行う。次に、空間軸での協調型スペクトラム観測法と時間軸からの協調スペクトラム観測法(占有率推定法)を組み合わせる。この組み合わせた多次元型観測法の高度化と多角的な評価を進める。 さらに、昨年度発見した弱点である雑音への不確定性と周波数オフセットへの対策をたてる。
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