2011 Fiscal Year Annual Research Report
従来捨てていた測定結果を用いた量子暗号の鍵レートの向上
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22760267
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 隆太郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (10334517)
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Keywords | 量子暗号 / 暗号・認証等 / 応用工学・量子光工学 / 情報通信工学 / 量子コンピュータ |
Research Abstract |
駄子鍵配送プロトコルの手順の中に秘密増幅と呼ばれる段階がある。これは、秘密増幅ではランダムに選んだハッシュ関数によって一部の情報が盗聴者に漏洩した秘密情報を短くし、盗聴者にまったくわからないより短い秘密情報を生成する。ここで用いられるハッシュ関数は、CarterとWagmanによって1979年に提案されたtwo-universalハッシュ関数と呼ばれる関数族で、この関数族からランダムに関数を選んだときに異なる値が同一の関数値を持つ確率が完全なランダム関数のそれ以下になるという性質を持つ。このハッシュ関数を用いた秘密増幅の考え方を近年注目が高まっている情報理論的セキュリティの分野に適用し、研究成果を3件の国際会議で発表した。具体的には、盗聴通信路に関する以下のような成果を得た。盗聴通信路とは、正規送信者Aliceが正規受信者Bobに雑音を有する通信路を介して誤りなく秘密情報を伝送しつつ、同じく雑音を有する通信路を介してAliceの送信信号を傍受している盗聴者Eveには秘密情報がわからないように、Aliceの符号化器とBobの復号器を構成する問題である。Eveに秘密情報がわからないようにするために、従来の盗聴通信路符号化ではAliceが送信信号にダミー乱数を挿入していた。ダミー乱数の挿入は伝送速度の低下をもたらし望ましくない。この問題に対し山本らは秘密情報と独立な複数の別の秘密情報を一括して送信信号に符号化し、各々の秘密情報が別の秘密情報に対してダミー乱数の役割を果たし、各々の秘密情報がEveにわからならなくなるsecure multiplex codingを提案した。しかしながら、山本らは複数の秘密情報の組についてEveに漏洩する情報量は見積もっていなかった。この漏洩情報量について、量子鍵配送プロトコルの安全性証明の中核である秘密増幅定理を用いて、新たな評価値を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
量子暗号の手法を別の分野に適用すると有用な研究成果を得られることに気づきその可能性を探求していたので
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に記載されているB92量子鍵配送プロトコルの改善を平成24年度は行う
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