2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境発電で動作する電力・センサ網用信号処理集積回路
Project/Area Number |
22760275
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
和田 和千 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00302943)
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Keywords | 逐次比較型ADC / 低電圧・低電力 / 変換誤差 / 補助比較器 / 弱反転領域 |
Research Abstract |
電力供給装置を内蔵したワンチッフセンサモジュールの開発を目指し,環境発電により得られる微小な電力でもセンサで得た信号を高精度にデジタル化して,他の情報通信機器に伝送する回路を設計している。今年度は,まず,局所発信回路を設計して,ディジタル回路からの雑音の影響評価を行うプロトタイプの試作を行った。次年度,これの評価と改善を行う。次に,アナログ・ディジタル変換回路(ADC)の設計に取り組み,並列RCフィルタを用いたアプローチを検討して,帯域制限フィルタが不要になるという利点が明らかになりながらも,素子値に対する感度が高く利用できないとの結論を得た。一方,ADCの低電力動作が期待されている逐次比較方式の構成において,精度の改善を行った。生体信号など低周波信号の処理にはMOS電界効果トランジスタ(MOSFET)を弱反転領域で使用するのが低電力化に有効であると考えられているが,信号の電圧が小さくなるのに対し,熱雑音は小さくならない。したがって信号対雑音比が悪化し,特に離散値を出力する比較器は,2つしか取りえない値を誤って出力してしまう確率が大きくなる。そこで,比較器を本質的に内包するADCにおいて,弱反転動作のMOSFETにより低電圧・低電力化と引き換えにディジタル出力値(出力コード)がばらついてしまうことを抑制するために.2分探索アルゴリズムに,再比較の機構を組み込んだ。同じ比較を2度行うので誤る確率を下げられる。さらに,1変換あたりの消費エネルギーも2倍になってしまうことを避けるために,1度目の比較で誤る可能性を判定するための簡易で小規模・省電力の補助比較器を導入することで,出力ばらつきを約2ビット精度で抑えながら,2度目の比較を省略して消費電力の増大の抑制をも同時に達成した。
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