2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ・マイクロ系への応用を目指したエネルギー局在現象の制御に関する基礎的研究
Project/Area Number |
22760280
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
木村 真之 滋賀県立大学, 工学部, 助教 (00551376)
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Keywords | 非線形理論・回路 / 空間局在モード / 結合振動子系 |
Research Abstract |
本研究は,ナノ・マイクロ系におけるエネルギー局在現象(空間局在モード)の制御を目標としたものである.平成23年度の研究成果を以下に示す. 1.電磁機械系における空間局在モードの励起 前年度に構築した電磁機械系のパラメータ調整を精密に行い,空間局在モードの励起を試みた.結果として,予想された波形の空間局在モードを実際に観察することに成功した.実験では,各振動子の時間波形を取得することができるため,定常的な空間局在モードや過渡的な現象について,各振動子間の位相差や振幅変化などを詳細に計測することが出来る.この計測機能により,空間局在モードの励起・移動・崩壊のダイナミクスを数値実験と比較できるようになった. 2.電磁機械系のモデル化と空間局在モードの分岐解析 電磁機械系をモデル化し,コンピュータを用いた数値実験を行った.数値実験では,どのようにエネルギーの局在した空間局在モードが存在するか,また,そのモードの安定性などを検討した.結果として,電磁機械系の結合力やエネルギーによる解の分岐構造を明らかにし,空間局在モードを制御するための実験系構築に設計の指針を与えた. 3.空間局在モードの不安定化 空間局在モードの安定性交替については,系のパラメータを時間周期的に変調することで空間局在モードの安定性が失われることを発見した.詳細な数値実験により,空間局在モードの不安定化はパラメトリック共振によるものであることを明らかにした.パラメトリック共振では,一般的に比較的低い周波数でパラメータを変調することで引き起こすことが可能である.このことは,制御回路として高い性能を要求されないことを意味し,実現容易性が高まることを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である空間局在モードの制御について,安定性交替の実証は未達成であるが,パラメトリツク共振による空間局在モードの不安定化の発見により,制御則の実現が可能となった.また,系パラメータを変調することによるフィードバック制御も数値的には成功している.また,ナノ・マイクロ系への検討は予定よりも早く進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
安定性交替の実証には,電磁機械系のさらなるパラメータ調整が必要である.そのための数値実験は今後も継続する.一方で,パラメトリック共振による空間局在モードの不安定化については出来るだけ早急な実現を目指す.空間局在モードの制御則については,数値的な実験を重ね,実装へ向けた検討を行う.また,実験による実証を目指す.ナノ・マイクロ系における適用可能性については,既に設計・製作済みのマイクロカンチレバーアレイについてモデル化や測定系構築などを行っていく.
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