2011 Fiscal Year Annual Research Report
個々のLDPC符号が持つ正確な誤り訂正性能評価法の研究
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22760286
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
萩原 学 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報セキュリティ研究センター, 研究員 (80415728)
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Keywords | LDPC符号 / SFA LDPC符号 / 検出不可能誤り / 重み分布 / Sum-Product復号 |
Research Abstract |
本年度は,当該研究テーマの出版,および,昨年度までに得た成果の周辺研究を主体に行った。 出版状況として,国際論文誌IEEE Trans.On IT.に採録・出版されたことを挙げておく。 昨年度までに創出した本研究手法は、LDPC符号の理論的な解析と、計算機による解析を両方利用することでであった。個々のLDPC符号に対し,シンドローム長に応じた量のデータを計算機によって取得し,それをもとに理論式に置き換える手法である。シンドローム長によるが,40程度であれば,一か月以上の時間を要する。震災の影響で長時間の計算機利用が難しい環境が続くと想定されたため,理論研究を中心とした研究を行った。これは、年度の初めに提出した研究計画通りである。 昨年度までに得ているデータとして(3,11)-SFALDPC符号とよばれる対象の二元対象通信路上の性能評価を行い、復号誤り率の理論式導出に成功している。そこで、同符号よりも一般的な構造を持つ(3,P)-SFA LDPC符号に着目し、検出不可能誤りの生成率を求める研究を進めた。SFA LDPC符号は正則LDPC符号のクラスの一つであり、準巡回LDPC符号でもある。特に、梶、杉山らにより最小距離の導出、最小距離をもつ符号語の個数などが研究されてきた経緯をもつ。本研究では、梶、杉山の考察したSFA LDPC符号を一般化した構造を定義した。これまで(J,P)-SFAは1つの線形符号を指す用語であったが、本定義ではP choose Jだけ自由度を持つ。特に、一見すると同値で無い符号をふくむクラスとなっている。(同値であるか否かの問題は、後述する)その上で、列重み2もしくは3のSFA LDPC符号の検出不可能誤り率が、同一の列重みであれば、Pのみに依存することを証明した。つまりP choose Jある符号がどれも、同じ誤り率を有することがわかった。 この成果は、国際シンポジウムISITA2012に投稿中である。 本研究結果から、今後の興味として次の2点が面白いと考えられる。 1.(3,P)-SFA LDPC符号の検出誤り率はPのみに依存して、すべて同じ値であることを得た。では、実際には幾らであるか、正確な表示を求めよ。 2.(3,P)-SFA LDPC符号のパリティ検査行列は、どれも同値であるか調べよ。つまり、列置換と行置換だけで、それらのパリティ検査行列を移りあえるか調べよ。 本研究でも2.の解決を試みたが、完全な解は得られていない。計算機でも確認のできない、興味深い話題をみつけたと言える。
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Research Products
(1 results)