2010 Fiscal Year Annual Research Report
超関数の概念を用いた減衰正弦波の周波数推定とその応用に関する研究
Project/Area Number |
22760303
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
新田 益大 東京理科大学, 工学部, 助教 (20453821)
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Keywords | 周波数推定 / 超関数 / 高速高精度 |
Research Abstract |
本年度は,減衰のない単純な正弦波の周波数推定法の開発を通して,超関数の概念を用いて高速高精度に周波数推定を行うのに必要な種々の条件を明らかにした.周波数推定は時刻OからTまでの有限時間区間に観測した信号に対して行うが,超関数の理論では無限時間区間の観測を要するのでこの問題の緩和が必要となる.理論ではテスト関数と呼ばれる関数が重要な役割を果たし,様々な関数が提案されているが,正規分布の確率密度関数であるガウス関数は急減少関数であるため平均をT/2とし,標準偏差を適当に選べば観測時間区間外で0と見なすことができるので,有限時間区間の信号に対しても理論を適用できることが明らかとなった.さらにこの関数を用いれば各種解析が容易となることもわかった.そこでガウス関数を用いて誤差解析を行い,高精度に推定するための条件の導出を行った.まずコンピュータで処理するためには積分を数値積分で近似する必要があり,その際の影響について調査した.数種類の数値積分法を適用したが,誤差への影響は少なく,最も処理が簡単な区分求積法を採用して良いことがわかった.つぎに標準偏差の選定法について調査した.精度保証付きの解析の結果から,上限と下限の存在が明らかとなった.上限は時間区間外をOと見なせなくなることに,下限は周波数推定に利用する時間区間内のデータ点数に対応する.そこで最後にサンプリング周期との関係を調べ,高精度な周波数推定に何点のデータが必要であるかを調査した.その結果.ある許容誤差を設定したとき,その範囲内での推定を達成する標準偏差とサンプリング周期の上限には,一次式で近似できる関係が存在することが示唆された.このことから,許容誤差を満たす推定を行うのに最低限必要なデータ点数を見積もることができ,実験より,従来よりも大幅に少ないデータ点数で高精度に周波数を推定できることを確認した.
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Research Products
(1 results)