2011 Fiscal Year Annual Research Report
超関数の概念を用いた減衰正弦波の周波数推定とその応用に関する研究
Project/Area Number |
22760303
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
新田 益大 東京理科大学, 工学部, 助教 (20453821)
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Keywords | 周波数推定 / 超関数 / 高速高精度 |
Research Abstract |
本研究ではガウス関数をテスト関数に採用することで,信号の微分を用いない高速高精度な周波数推定法を導いている.超関数の概念を用いるとき,積分区間は無限区間となるが,ガウス関数が急減少関数で対称性を有すること利用して,有限区間で近似した.推定精度を保証するには誤差解析を行う必要があるが,そのままでは評価関数の計算コストが大きいので,絶対値をとり,誤差の上限を与える評価関数を導くことで,この問題を解決した.評価関数はガウス関数のパラメータである平均μと標準偏差σに依存する.この評価関数を解析したところ,誤差がゼロとみなせる領域が存在することが明らかとなり,ガウス関数のパラメータであるμとσの間に所定の関係が成立することを見出した.提案する推定法では2μが測定時間となるから,それが決まればμが求まり,もう一方のσも自動的に決定できることになる. また,計算機で積分処理を行うには信号をサンプリング周期Tでサンプルして数値積分法を適用することになるが,許容誤差内で推定するために不必要に短いTを選ぶ必要はない.そこで数値積分法に区分求積法を採用し,σとTの誤差への影響を調べて両者の間に成立する関係式を見出した.これによりμが決まれば必要十分なTを決定することが可能となった.さらに区分求積法を採用しているためFIRフィルタによる高速な推定も可能となった. こうして得られた条件をもとに実環境で高速高精度に周波数が推定できるかを実験により評価した.実験は,ファンクションジェネレータで発生させた信号をアナログ入力モジュールを用いて計算機に取り込み,提案したアルゴリズムにより実時間処理する構成である.実験の結果,ファンクションジェネレータで発生させた周波数を正確に推定し,また,途中で周波数を変化させても,変化後の周波数を正しく推定していることが確認された.
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