2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760318
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 智昭 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (90515115)
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Keywords | 制御理論 / システム理論 / 制御系設計 / 安定化理論 / 偏微分方程式 / 無限次元システム / 時間遅れシステム / 半群理論 |
Research Abstract |
常微分方程式,偏微分方程式,差分微分方程式などの方程式で記述される様々なシステムを包括的に表現することが半群理論を用いて実現される.これまでに,Banach束と呼ばれる空間上でシステムの定式化が行われ,非負半群の性質を利用した安定定理に基づいて,Banach束上で記述されるシステムの制御系設計法が構築されていた.偏微分方程式や差分微分方程式で記述される無限次元システムにおいては,常微分方程式で記述される有限次元システムとは異なり,一般には,システム係数であるC_o半群のスペクトル半径が負であるからといって,必ずしもシステムが漸近安定であるとは限らない.そこで,非負性というやや強い条件を仮定することにより,スペクトル半径の正負を確認するだけで,制御系の安定性を判別することが可能となるような手法が考案されていた.本年度の研究課題では,これまでの設計方法で仮定されていたシステム係数が非負であるという制約を緩和することが目的である.この目的に対して,まず変数変換を導入し,システムの安定化可能性を変数変換後のシステムが非負半群の安定条件を満足するような変数変換が存在するか否かに帰着させた.次に,非負性を満足しないシステムであってもある特殊な構造をもつ場合,非負半群の安定条件を満足するための変数変換の構築が可能であることを明示するような安定化条件を導出した.つまり,非負半群の安定定理を満足するようなシステムに帰着できるような変数変換の存在性が保証されるシステム構造を明らかにした.したがって,システム係数が非負性を持つという強い制約を排除し,より幅広いシステムクラスへの適用が可能とるような無限次元システムに対する制御系設計方法が確立された.これは学術的観点から意義深い研究成果であると考えられる.
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