2010 Fiscal Year Annual Research Report
光学化学センサーを用いた構造物表層の劣化モニタリング
Project/Area Number |
22760334
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Research Institution | Public Works Research Institute |
Principal Investigator |
百武 壮 独立行政法人土木研究所, 材料地盤研究グループ(新材料), 研究員 (30468871)
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Keywords | 土木材料 / 構造・機能材料 / 可視化 / 高分子合成 |
Research Abstract |
酸素濃度によって発光強度が変化する燐光・蛍光色素を構造物塗膜や部材表面に分散させて得られる酸素の二次元分布をから、非破壊で繰り返し応答可能な、新しい構造物劣化モニタリング手法の開発を目的とした。土木構造物表層に設置する色素候補として、紫外光、高温、水、酸、アルカリに耐久性高いフッ素置換ポルフィリン金属錯体を選択した。それぞれの色素はフッ素系、ウレタン系のクリアエラストマーに安定に分散され、硬化反応の影響を受けず、架橋後、薄赤色の強靭な塗膜として得られた。励起光(405nm)照射下、一連の酸素濃度0-21%(大気)において発光強度が変化し、酸素濃度と発光強度から算出したStern-Volmer式は一次の直線関係を示し高い酸素感度を示した(例えばフッ素クリア色素分散膜で、センサー用途の指標発光強度比I_0/I_<100>=3.0よりも大きな値8.6)。得られた塗膜をSEM観察したところ、刷毛塗布法であっても均質な表面を形成していることが明らかとなった。励起光と発光をフィルターで分離し、計測用CCDカメラを用いて酸素濃度分布すなわち塗膜や基板のき裂が可視化できることが示された。これらの知見から発展させ、計測用CCDカメラではなく、目視あるいは一般的なコンパクトデジタルカメラでも塗膜や構造物の剥離・き裂を検出可能であるか検討した。気体透過性が極めて高いポリトリメチルシリルプロピンに発光色素分子を分散させ、気体バリア性の高い高分子を積層して封止し、いくつかの組合せでバリア層の剥離を検出することができた。各種気体バリア性ポリマーの相溶性、成膜性、積層法を検討し、より現実的に実用に供する積層塗膜への適用を今後検討する。また、気体バリア膜を検討する過程で気体透適性をコントロールする全く新しい方法を見出した。これまでにない化学的安定性と気体バリア性が両立する新しい高分子膜の設計の指針となることが期待できる。
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