Research Abstract |
本研究では,鉄道・道路橋を対象に走行列車・車両などの供用荷重による橋梁の振動応答を用い,橋梁-走行車両連成振動の順解析手法とソフトコンピューティング理論に基づいた,経済的かつ効率的な橋梁ヘルスモニタリング手法の開発を目的としている。具体的には,想定し得る損傷パターンを入力して交通振動順解析により構造応答を計算し,得られた結果について最適化手法(遺伝的アルゴリズム)を導入して実測値と比較することにより損傷パターンを特定する。 平成23年度において,これまで使用した面内振動のみ考慮する2自由度平面列車モデルを高度化し,車両の三次元挙動を表現できる15自由度列車モデルを構築し,実橋梁の諸元に基づく単純支持高架橋モデルとの連成振動応答を用いたより実用的な損傷推定アルゴリズムを実現した。また,各種損傷条件を想定し,可能な損傷個所や損傷程度を設定し,提案した損傷同定手法の適用可能性を検討した。実際の交通振動において,車両の重量や速度,路面凹凸の影響,さらに計測データにおける周辺環境の影響(ノイズ)などの不確実性が存在し,実応用に向けてこれらの要素の影響を十分に検討し考慮する必要がある。今回,将来実測値と比較して検討できるように,列車走行におけるレール踏面凹凸も考慮して連成振動解析を行った。また,車両速度の同定結果への影響についても検討した。さらに,損傷同定の精度を高めるために,用いている最適化手法である遺伝的アルゴリズムの各種パラメータ(初期人口,交差率,突然変異率,収束条件等)について検証を行い,同定精度に影響する最適なパラメータの決め方を検討した。 上述研究成果は,解析モデルおよび手法の高度化を実現でき,本研究で目指している経済的かつ効率的な健全度評価手法確立の基礎となる。
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