2011 Fiscal Year Annual Research Report
断層近傍の上下方向地震動により生じる軸力変動がRC橋脚の耐震性に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
22760338
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松崎 裕 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (10506504)
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Keywords | 上下方向地震動 / 断層近傍 / 軸力変動 / 短周期 / 引張力 / RC橋脚 / 正負交番繰返載荷実験 |
Research Abstract |
近年、断層近傍において水平方向地震動よりも大きな最大加速度を有し、周期0.1秒程度の短周期成分が卓越した上下方向地震動が国内外で観測されている。短周期かつ大振幅の上下方向地震動が橋梁に作用した場合には、単柱式橋脚であっても、引張力を含む大振幅の変動軸力が橋脚基部に生じる。しかし、こうした大振幅かつ短周期の変動軸力がRC橋脚の破壊性状や曲げの履歴復元力特性に及ぼす影響は実験事実に基づいて明らかにされていない。本研究では,断層近傍上下方向地震動による変動軸力を模擬した静的正負交番繰返載荷実験により、1)曲げ変形に比べて短周期で生じる上下方向地震動による変動軸力の特性と、最大引張軸力の大きさ、および2)水平方向地震動による曲げと上下方向地震動による変動軸力の位相差が、RC橋脚の耐震性に及ぼす影響を解明することが目的である。 上記の1)については、平成22年度に、既往の強震記録を用いた事前解析に基づいて変動軸力の最大引張応力を1N/mm^2および2N/mm^2、水平変位1サイクル当たりの変動軸力の繰返回数を10回とした静的正負交番繰返載荷実験により検討した。その結果、水平変位1サイクルの間に複数回、圧縮力および引張力のピークが軸力と曲げの連成で生じる結果、特に軸方向鉄筋の座屈後は変動軸力を受けてコアコンクリートの損傷が急激に進展すること、最大引張軸力が大きいほど、コアコンクリートの損傷が大きいことが示された。 平成23年度は、平成22年度における変動軸力とは逆位相の変動軸力を与え、上記の2)に関する載荷実験を行った。試験体に用いた材料強度の違いの影響はあるものの、平成22年度の載荷条件を含めたファイバー解析と合わせた検討により、曲げによる圧縮力と変動軸力による圧縮力が同時に作用する載荷条件の方がRC橋脚の損傷進展が激しいことから、その条件でRC橋脚の耐震性を評価する必要があることを示した。
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