2010 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリートを充填した鋼構造部材の低サイクル疲労破壊特性の解明
Project/Area Number |
22760339
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
判治 剛 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (80452209)
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Keywords | 低サイクル疲労 / コンクリート充填柱 / 耐震補強 / 局部ひずみ / 溶接継手 / 弾塑性有限要素解析 |
Research Abstract |
東日本大震災の発生により,従来想定していた以上の超巨大地震が生じる可能性が明らかになり,東海・東南海・南海地震に対する対策の見直しが迫られている.局部座屈に対する補強法としてコンクリートを内部に充填した鋼構造部材では,超巨大地震による大変形の繰り返しにより低サイクル疲労破壊が生じる可能性がある.そこで本研究はコンクリート充填柱に対する低サイクル疲労照査法を開発する. まずコンクリートを充填した鋼製橋脚を模擬した試験体を製作した.試験体基部には三角リブを配置しているが,これは阪神淡路大震災での損傷事例および実橋での適用実績を勘案して採用したものである.試験体に繰り返し大変形を与え,三角リブ溶接部からの低サイクル疲労き裂の再現およびその発生メカニズムを解明していく. また申請者の過去の研究により,鋼材の低サイクル疲労強度はき裂発生点の局部的なひずみと密接な関係があることが示されている.局部ひずみ場を求めるためには弾塑性有限要素解析が有効である.解析によりき裂発生点である溶接部近傍の局部ひずみ場を求める場合,その周辺を0.01mmオーダーに細かくメッシュ分割する必要があるが,数mから数十mオーダーの実構造物全体をこのようにモデル化するのは,計算時間が膨大となり現実的ではない.そこで本研究では,比較的大型の鋼部材を対象として,溶接部近傍の局部ひずみ場を求める解析手法を検討した.今回はズーミング手法を採用して局部ひずみ場を求め,実験結果と比較することによりその妥当性を検証した.解析により得られた局部ひずみを用いて整理した実験結果は,過去に申請者が提案した材料レベルの強度曲線と同じ領域に分布しており,本解析による局部ひずみの精度は十分であること,さらに局部ひずみ場を求めるために本解析手法を適用可能であることが示された.
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