2011 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリートを充填した鋼構造部材の低サイクル疲労破壊特性の解明
Project/Area Number |
22760339
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
判治 剛 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (80452209)
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Keywords | 低サイクル疲労 / コンクリート充填柱 / 疲労き裂 / 角割れ / 局部座屈 / 耐震補強 |
Research Abstract |
コンクリート充填部材に対する低サイクル疲労設計法の確立を目指して,本研究ではコンクリート充填柱の低サイクル疲労実験を行い,低サイクル疲労破壊メカニズムを明らかにした.本研究の成果を以下にまとめる. ・柱基部に三角リブを配置した矩形断面柱にコンクリートを充填し,それに対して繰り返し大変形下での低サイクル疲労実験を行った.本試験体は阪神淡路大震災での損傷事例および実橋での適用実績を勘案して採用したものである.荷重は漸増変位振幅で与え,鉛直荷重は降伏軸力の10%と20%とした.コンクリート充填柱に加え,充填しないものも比較として実験を行った. ・コンクリートを充填していない試験体では局部座屈と同時期に三角リブ溶接部に低サイクル疲労き裂が生じたが,座屈部の変形が支配的となり,三角リブのき裂はほとんど進展しなかった.最終的には,局部座屈位置の角溶接部に縦方向の割れが生じ,急激に耐荷力が低下して破壊に至った. ・コンクリート充填柱での破壊性状は次のとおりである.まず三角リブ止端部に低サイクル疲労き裂が発生し,その後,基部周辺のフランジ面で局部座屈が生じた.荷重の繰り返しとともに局部座屈部に変形が集中するようになると三角リブ部のき裂進展は遅くなるが,その代わりに局部座屈位置に角溶接割れが発生し,急激に進展して破断した. ・コンクリート充填柱での三角リブ部のき裂は最大耐荷力に到達する前に発生した.これは,コンクリート充填柱においては,局部座屈および角割れが生じる前に低サイクル疲労き裂を起点とした脆性破壊が生じる可能性があることを示唆している. ・低サイクル疲労き裂の発生寿命に関して,鉛直荷重の大きさの違いは影響を与えない.つまり,き裂発生寿命に対して平均ひずみはほとんど影響しないといえる.
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Research Products
(3 results)