2010 Fiscal Year Annual Research Report
高強度鋼の軟質溶接継手による疲労強度の向上とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
22760343
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
木下 幸治 岐阜大学, 工学部, 助教 (90452169)
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Keywords | 軟質溶接継手 / 高強度鋼 / 疲労 / 切欠き感度 / 溶接残留応力 |
Research Abstract |
鋼橋への高強度鋼の適用は,軽量化や製作コスト低減など,極めて大きな効果が期待できるため,世界的に増加している.しかし,高強度鋼は切欠き感度が高いために,応力集中が起こる溶接部の疲労強度の確保が重要な課題である.本研究は,この課題の達成を目的とするもので,高強度鋼の"軟質溶接継手"による疲労強度向上法の提示を目的とする. 今年度は軟質溶接継手を適用した荷重伝達型十字溶接継手部を対象に,切欠き感度,軟質化の程度がその継手部の疲労強度に及ぼす影響について疲労実験,並びに溶接部の応力集中を評価可能なEffective Notch Stressアプローチを用いた有限要素法による応力解析を実施するとともに,他の溶接継手部を対象とした既往の疲労試験結果との比較を通じて,軟質溶接継手部の疲労強度が等質継手と同程度以上として扱える可能性があることを示した. 一方,現在までの軟質溶接継手の疲労強度に関する報告は500MPa級の高強度鋼までであるので,今後,省資源,省エネルギーの面から,より大きな効果が期待できる800MPa級の高強度鋼に関する研究の進展が望まれる.このことから,今年度,800MPa級の高強度鋼を用いた軟質継手の高応力範囲の疲労強度について明らかにすることを目的とし,軟質化の程度を変えた高強度鋼を用いた十字すみ肉溶接継手試験体の疲労試験を実施した.さらに,軟質溶接継手の疲労強度向上メカニズムの解明に向け,岐阜大学が所有する走査型顕微鏡を使用し,各疲労試験後に疲労き裂破面の起点や進展の様相を確認した.
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