2011 Fiscal Year Annual Research Report
ジオセルを引張り補強材として活用した補強土構造物の安定性
Project/Area Number |
22760359
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清田 隆 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (70431814)
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Keywords | ジオセル / 補強士 / 土中引き抜き抵抗 / 模型実験 / ジオシンセティックス / 粒径 / 盛土材料 / ジオグリッド |
Research Abstract |
土構造物の高度利用を実現するために、これまで様々な補強土工法が開発されてきた。その内、ジオグリッドなどの面状補強材を主体としたジオシンセティックス補強盛土は、鉄道橋台・擁壁や重要構造物基礎として既に実用化されている。一方、立体的なハニカム構造を有するジオセルは、主に基礎地盤に対して上載圧を分散させる機能を期待した利用が主体であった。本研究ではジオセルをその水平アンカーカを生かすことにより、引張り補強材として期待できる可能性を、模型実験を基に検討した。 初年度(平成22年度)の研究では、ジオセルの引き抜け抵抗は盛土材粒径の大きさと共に増加するが、従来の面状補強材では粒径が大きすぎると引き抜け抵抗が低下する可能性があることが分かった。ジオセルは、セルの高さが大きく、かなり大粒径の盛土材もセル内に入れることができるため、地盤材料によっては従来の面状補強材と比較してアンカーカは大きくなることが考えられる。しかし、通常のジオセルではその構造上、引き抜け時の剛性はかなり低い。そこで、最終年度(平成23年度)では、ハニカム構造を保持しつつ引き抜け方向に縦材を配置した新しい形状のジオセル模型を作成し、ジオセルの高さと地盤材料の粒径がジオセルの引き抜け特性に及ぼす影響を検討した。新しいジオセルの材料自体は、昨年度用いたジオセルよりも低い剛性であったが、縦材の存在が土中引き抜け時の初期剛性とピーク強度の増加に寄与する結果が得られた。また、ジオセルの高さを変化させた実験により、ジオセルの高さと盛土材料の粒径の比が小さくなると、引き抜け抵抗が増加する傾向を見出した。本研究で実施した実験条件は限られているが、ジオセルを引張り補強材として用いる場合において、地盤材料の粒径とジオセルの高さ・大きさの間に最適な関係が存在する可能性を示した。
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