2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760364
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 朋人 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10554959)
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Keywords | 土壌水分 / 極端現象 / 予報スキル / 地球水循環 / 全球気候モデル / 大気陸面相互作用 / 陸面モデル / 人間活動 |
Research Abstract |
本研究は人工衛星や大気再解析値等で作成された現実的な陸面情報と全球気候モデルを用い,さらには灌漑の効果も考慮した上で水文気象予報を行うものである.具体的な目的は,現在アメリカ航空宇宙局や宇宙開発機構が中心に人工衛星を用いて進めている陸面モニタリングシステムによる陸面観測値が降水量や地表面気温,世界の大河川流量の予報スキルがどの程度向上しうるのか季節ごとにアセスメントを行い,水文気象予報の観点から全球気候モデルにおける大気陸面相互作用の役割の解明することである. 以下,当該年度に実施した研究成果について記す. a)MIROC GCMの陸面モデルに降水量,長波・短波放射等のフォーシングデータを与えることにより,全球スケールの土壌水分データの作成を行った. b)4種類の予報実験を行い,土壌水分の初期情報による水文水資源予報スキルの評価を行った.各計算は4~8月の毎月1日と15日から開始される2か月間(60日間}の予報実験である.1種類目の予報実験(Step1)は2.で作成した土壌水分データを計算の初期値として用いるものである.2つ目(Step2)は初期値とする土壌水分データを対象とする年ではない別の年(ただし同じ日にち)からランダムに選び行われる実験である.両者の実験ともに,大気過程の初期値と海面水温データは対象とする年の観測値を使用した.Step1と2により得られた結果の差は対象とする年の土壌水分を初期値とするか否かによる違いを示し,これが土壌水分の初期情報による準季節予報スキルとなる. c)準季節予報の潜在的予測可能性の地域特性ならびに季節性を評価し,物理的特徴を分析した. d)1988年夏に北米大陸を襲った大旱魃の準季節予報スキルは1か月前の陸面初期情報の精度によってその再現性が左右されることが判明した. e)上記に加え,灌漑活動をはじめとする人間活動の影響を陸面初期値に反映させることが大早魃の準季節予報スキルを向上させるとの結果が得られた.
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