2011 Fiscal Year Annual Research Report
人為的な影響の大きい中央アジア・アラル海流域における水資源データベースの構築
Project/Area Number |
22760367
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
甲山 治 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (70402089)
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Keywords | 中央アジア / アラル海 / 国際河川 / 塩害 / 気候変動 / 農地灌漑 |
Research Abstract |
本研究では,国際的水管理政策の重要性が高い中央アジア・アラル海流域における水資源分布の把握に向けて,ダム建設や農地灌漑などの人間活動が与えている影響の評価を行った.まずは水文陸面過程モデルおよび流出モデルに,衛星解析と現地調査から得られた水利用情報を反映させることで,アラル海流域における人間活動を含んだ陸面水文動態を把握した. 中央アジア・アラル海流域は1960年代以降,水資源を大規模農地灌漑に集中的に利用してきた地域であり,その結果アラル海の縮小や農地塩害,析出塩類による健康被害などが報告されている.本研究で重要な点としては,人間活動が流域水循環に与える影響を出来る限り定量的に評価したことである.人間活動は水循環を構成する要素のうち唯一能動的に意思決定できるものであり,それが長期間作用したときに生じる因果関係を知ることは今後の水資原計画において非常に有益である. 本研究の最終成果物となるアラル海流域水資源データベースは,流域各国の合意に基づく統合的な流域管理に向けて,流域の把握に必要な情報を整備し大陸スケールの視野で俯瞰する有力なツールとして使用していきたい.つまり本研究課題は学術的意義のみならず,将来日本の貢献が期待される中央アジアにおける水資源開発技術援助への情報提供という意味においても,社会的意義が大きいといえる.またアラル海流域における問題は,世界各地の水利用・水管理を考える上で重要なモデルケースとなりうる.
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