2010 Fiscal Year Annual Research Report
衛星情報の複数利用と汎用性が高いデータ同化手法を応用した土壌水分の時空間分布推定
Project/Area Number |
22760368
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
萬 和明 京都大学, 工学研究科, 助教 (90554212)
|
Keywords | 地表面植生水文モデル / 粒子フィルタ / データ同化 / 土壌水分 / 表面温度 |
Research Abstract |
水循環において重要な役割を果たすことが明らかになりつつある,土壌水分の時空間変動の把握が求められている.しかし,土壌水分の時空間連続的な観測は困難であり,モデル推定値には不確実性が含まれる.そこで,地表面植生水文モデルに汎用性が高いデータ同化手法である粒子フィルタを導入し,土壌水分の最適な時空間分布を推定することを本研究課題の目的としている.当該年度では,申請者らが開発を進めている地表面植生水文モデルSiBUC(Simple Biosphere including Urban Canopy)に,土壌水分を修正対象として,汎用性が高いデータ同化手法である粒子フィルタの実装を進めた.具体的には,モデルを駆動するための入力データ,データ同化手法の有効性を確認するための検証データが高頻度で入手可能な複数の水文気象観測サイトを研究対象地点に設定し,観測値の気象データと土壌パラメータを入力情報,土壌水分を観測情報としたとき,土壌水分推定値が適切に修正されるか,粒子フィルタの挙動を検証した.本研究課題では,データ同化の観測情報として衛星情報を利用し,本研究課題で開発するデータ同化手法を広域に適用する計画である.しかし,土壌水分の衛星観測は密な植生域に適用できない.そこで,比較的高頻度で観測される表面温度を観測情報として与え,土壌水分を修正するデータ同化手法の構築を目指している.当該年度では,衛星情報から推定される表面温度のデータを収集し,その時空間分布の分析に取り組んだ.分析結果からは,2005年4月初旬の華北平原など,年々の偏差が異常に大きくなる領域が存在することが明らかとなった.こうした領域における水・熱循環の理解をいっそう深めるために,地表面水文植生モデルの高度化ならびにデータ同化手法の構築が今後の課題となる.
|
Research Products
(1 results)