2011 Fiscal Year Annual Research Report
河川環境保全・再生のための流水・流砂現象の高精度予測技術に関する研究
Project/Area Number |
22760369
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
張 浩 京都大学, 防災研究所, 助教 (90452325)
|
Keywords | 水制 / 局所洗掘 / 混合砂 / 粒度分布 / 非平衡流砂モデル / 並列計算 / 非構造格子 / サンドリボン |
Research Abstract |
河川構造物周辺の流れや河床形態及び河床材料の粒度分布は,水生動植物のハビタット評価及び河川生態系の保全・再生を行う上で必要不可欠な情報となる.本研究では初年度に引き続き,混合砂河床における水制周りの流れ場・地形変動・河床材料の粒度変化特性を水路実験および現地調査,そして数値シミュレーションにより検討を行った.実験では非越流型の不透過型水制,透過型水制および透過部分と不透過部分の組み合わせた3種類の透過不透過混合型水制を対象とし,河床材料として混合砂河床を用いることにより水制形式が水制周辺の水理量や河床形状に与える影響,また水制が周辺の河床粒度分布に与える影響について検討した。現地調査では京都府八幡市木津川(淀川流域)にある流れ橋周辺の環境再生用の2基の水制,及び中国成都市近郊府河(長江の支川であるみん江流域)にある航路整備用水制群を対象とし,特に府河水制群周辺の地形及び流速に関する調査を重点的に行った.数値モデルでは,昨年度開発してきた非構造格子を用いた流砂の非平衡性を考慮した3次元河床変動解析モデルを用いて,混合砂河床における河川構造物周辺の河床変動のシミュレーションを行った. 以上の研究方法により,様々な水制周辺の複雑な流速場,局所洗掘とそれに伴う堆積及び河床表層の粒度変化特性などを明らかにした,特に水制の形状によって水制周辺の流れ構造,河床形状は大きく異なることが分かった.また,水制周辺における流砂の縦断,横断及び鉛直方向における分級現象の重要性も再確認できた.不透過型,透過型や様々な混合型水制下流に顕在化する粗粒化領域,そしてその周囲にサンドリボンといいう細粒化する領域の特性も明らかになった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存流砂理論を踏まえ,実験及び現地調査により新たに明らかにした物理現象を加えて,個々粒子に対する力学の考察とその総合化としての確率論の考察とを融合して,より合理的かつ一般性のある流砂理論を構築し,モデルを開発した.そのモデルの有効性は,移動床水理実験における流れ及び河床変動などの再現計算による検証できた.
|
Strategy for Future Research Activity |
追加水路実験を実施し,平成22年度と平成23年度二年間の研究成果を踏まえ,本研究で新たに構築した流砂理論及び高度化した数値モデルを改良し,より実用化する.河床変動,河床材料の粒度分布などを引き続き調査し,年度ごとの変化を把握する.最後に,土砂環境からみた好ましい河川の再生技術の手法を確立し,分析・評価の実用可能なツールを完成する.
|