2010 Fiscal Year Annual Research Report
流域治水のための高解像度多次元降雨流出・洪水氾濫モデルの開発
Project/Area Number |
22760370
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 健一郎 京都大学, 学際融合教育研究推進センター, 特定准教授 (60420402)
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Keywords | 分布型 / 統合型 / 降雨流出計算 / 洪水氾濫計算 / 経済被害推定 / 佐用町 / 淀川流域 / GIS |
Research Abstract |
本研究では従来別々に扱われてきた山地流域での降雨流出計算,及び氾濫原での洪水氾濫計算を同時に実施することを可能とする統合型の高解像度多次元降雨流出・洪水氾濫モデルを開発することを主要な目的とする.山地流域の降雨流出追跡を分布型モデルで行う場合,斜面流の計算は斜面上に疑河道網を構成し,空間一次元kinemtic wave法を用いて追跡するということが常道であったが,この斜面流を空間2次元浅水流方程式を用いて追跡することにより洪水氾濫及び降雨流出過程の同時追跡を可能にする.このアプローチは2009年の兵庫県佐用町の洪水災害のように洪水流が河道から氾濫しつつ下流に流下していく場合などでは重要性が高い.最終的には流域治水について考えることが主要な目的で,上流側であえて洪水流を氾濫させて下流側を守るという治水手法などを検討するためには,このように流域レベルで氾濫現象を取り扱うことが必要である.これまでの降雨流出,洪水氾濫解析のアプローチに加えて,新たな降雨流出・洪水氾濫モデリングのフレームワークを提供することも目的である.また,GISを用いたポストプロセスにより洪水災害による1次,2次社会経済被害を定量化できるような枠組を提供する.これらを目的に研究を実施してきたが,本年度は佐用町については統合型降雨流出・洪水氾濫追跡モデルを構築し,従来法との比較なども通じて,その有効性及び難点を明確化した.同様に開発した経済被害推定モデルを適用し,実体経済被害との比較なども通じてモデルの精度を検証した.結果として新規モデルの精度及び有効性が概ね確認された.また,広域の淀川流域(流域面積8240km^2)にも同モデルを適用して,完成度は70%程度である.淀川流域についてはダムモデル,琵琶湖モデルなども構築した.次年度は中部(木曽3川),関東(利根川等)流域などにも同モデルを適用していく.
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