2010 Fiscal Year Annual Research Report
感潮河道における藻類増殖が懸濁粒子の沈降速度増大に与える影響の解明
Project/Area Number |
22760372
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 浩一 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50355955)
|
Keywords | 懸濁物質 / 沈降速度 / EPS / 底泥 / 高濁度水塊 |
Research Abstract |
筑後川は有明海に河口を持つ感潮河道であり,河口より8~16km付近に高濁度水塊が発生する.本研究では,独自開発した水中ビデオ顕微鏡カメラを用いて現地におけるフロック密度関数および沈降フラックスを明らかにすることを目的とし,フロックカメラを用いて筑後川感潮域でのフロック沈降特性の観察を行った.フロックの有効密度関数は干潮時と満潮時で変化しており,干潮時と満潮時に浮遊しているフロックの性質が異なることを示していた.また,フロックの沈降速度との関係では,藻類含有量が多いと沈降速度は低いが、SS中のEPSの含有量が高いとフロックの沈降速度が増大することが確認された. 底泥中の塩分及び有機物が底質の沈降・再懸濁に及ぼす影響について調べた.底泥は強熱減量が12%程度であり,そのうち粘着性に影響を及ぼすEPSはグルコース換算でSSあたり0.01%~0.02%含有されていた.これをH_2O_2で処理する前後で底質の沈降・再懸濁について調べたところ,有機物を含む底質の方が,沈降速度が速くなることが分かった.また,電気伝導度が高くなるほど濃度基準中央沈降速度が速くなっているが,これは,塩分の影響で粘土粒子が凝結することで,沈降速度が非常に遅い粒子の沈降速度が増加したためだと考えられる.しかし,フラックス基準中央沈降速度は電気伝導度が高くなってもあまり変化しなかったのは,もともと沈降速度が速かった成分の沈降速度には電気伝導度の影響がなかったことを意味していると考えられる.淡水環境下でも有機物の力だけで限界せん断応力が高まり底泥の巻き上がりを抑制することが分かった.
|