2010 Fiscal Year Annual Research Report
播磨灘の栄養塩異変の科学的原因解明と陸圏からの栄養塩負荷量変動との関連
Project/Area Number |
22760373
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
石塚 正秀 香川大学, 工学部, 准教授 (50324992)
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Keywords | 総量規制 / 栄養塩異変 / 河川水質 / 播磨灘 / 負荷量 |
Research Abstract |
海域の環境変化は陸域からの淡水流入が大きく関係している。瀬戸内海では漁獲量の低下やノリの色落ちなどの環境問題が多く発生しており、原因の究明が求められている。 研究の結果、2002年と2003年における播磨灘に流入する河川流量のうち、兵庫県播磨域からの流入量が流域圏全体の85%をしめる結果が得られた。また、1年間に流入する総流量のうち出水時に流入する割合は出水日数を30日とした場合に、35-60%を占めていることがわかった。また、播磨灘の海域水質は出水直後に播磨域側では、ケイ素、リン酸、硝酸は約11倍に増加し、河川出水の影響を強く受けることが明らかとなった。また、平水時の栄養塩のモル比について河川と海域で比較を行った結果、海域の全地点のN/Pの平均値は6.6、河川のN/Pの平均値は37であり、海域では窒素、河川ではリンが植物プランクトンの増殖に対して制限因子になっていることが分かった。一方、出水直後の播磨灘では陸近くでN/Pが76に増加し、河川水の流入により海域の窒素とリンの比率が変化することが分かった。播磨灘に流入するCOD負荷量をC-Q式により推定した結果、1年間の出水日数を30とした場合、2002年においては年間総負荷量の約40%、2003年においては約70%を占める結果が得られ、出水時に海域に流入する負荷量が多いことが分かった。 以上より、播磨灘水質には河川からの短期的な出水の影響が大きいことが明らかとなった。
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