Research Abstract |
都市道路網は徒歩や自転車と自動車が通行し,現在は歩道や自歩道もしくは路肩と車道に走行位置が実質的に分離されている.しかし,自動車の小型化や自転車交通の増大が進む近い将来においては,車道の一部を自転車道や歩道に変更するような道路空間の変更によって,都市道路網の利便性を高められる可能性がある.ただしこのとき,同じ道路区間を走行する交通手段間で相互に干渉し合うため,道路網整備案の評価には,各交通手段でのサービスレベル変化を同時に考慮しなければならない.そこで本研究課題は,経路選択行時における交通手段間の相互干渉を非集計行動モデルおよび交通量配分により考慮し,都市道路網の最適な再整備方法を提案する. 本年度は,関連する既往研究のレビューを行いつつ,名古屋市民を対象としたアンケート調査データを用いた,自転車利用時の駐輪行動および経路選択行動の分析を行った.駐輪行動の分析からは,現在進められている駐輪場の有料化は,放置自転車を増加させる可能性があり,駐輪容量の増加が同時に必要であることが示された.また,自転車利用者の経路選択行動の分析結果からは,自転車通行帯の整備方法によって,その利用意向が大きく異なることが示された.これら自転車利用者の行動分析に加え,高速道路上の車線運用方法に関する分析結果からは,新東名・名神高速道路上の1車線を貨物車自動走行レーンとすることで,自動車総走行台キロが大きく減少し,定時性の向上や交通規制時の渋滞緩和効果についても明らかな効果があることが示された.
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