2011 Fiscal Year Annual Research Report
経路ポートフォリオを用いた都市内配送の効率化に関する研究
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22760390
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安東 直紀 京都大学, 工学研究科, 特定准教授 (20432362)
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Keywords | 物流 / ロジスティクス |
Research Abstract |
前年度に検討した経路ポートフォリオを用いた配車配送計画問題の定式化を元に実際の都市内道路ネットワークに適用したケーススタディを実施するため、平成23年度はモデルの実装を試みると共に、効果検証を行う際に比較の対象となる、現実の配送における経路選択モデルの構築及びこれを用いた配車配送計画モデルの構築を主たる研究項目とした。現実の都市内配送では、物流事業者の配送係が経験に基づき配送経路を決定している。従って熟練した配送係の経路選択モデルを構築するために、平成23年にオーストラリア・ビクトリア州メルボルンで開催された9th Asia/Oceania Congress of Geriatrics and Gerontologyに参加し、研究者との議論を通じて熟練作業者の認知判断機能に関する知見を得た。これを元に配送係が作成した都市内配送の再現モデルを構築し、経路選択の再現性の評価を行った。経路選択において広く用いられるロジットモデルを用いた経路選択モデルでは各パラメータの評価関数は線形であり、これにより最尤推定法を用いてパラメータを決定することが出来る。一方本研究で新たに構築したモデルでは、各パラメータの評価関数を非線形とした。そのためパラメータの推計に遺伝的アルゴリズムを用いることとした。その結果、ロジットモデルを用いた経路選択モデルと比較し、選択経路の的中率を向上させることが可能となった。 本研究で構築する配車配送計画モデルの実装に当たり、計算量が多大になる事が予想されていたことから、当初の構想時から並列計算により効率化を図ることとしており、平成23年度にはnVIDIA製GPUを2基購入し、並列計算を行う解析プログラムの作成に着手している。しかし並列計算を行うプログラムのデバッグが困難であることから予定より完成は遅れており、引き続き研究協力者(大学院生)の支援を受けデバッグを継続し解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初見込んできた研究計画に対し、並列計算の解析プログラムの作成は若干の遅れがあるものの、当初の計画には挙げていなかった現実の都市内配送の再現モデル構築に取り組んでおり、最終年度となる平成24年度末には当初予定していた研究成果は得られる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年である来年度は、研究計画に基づきこれまでに収集・構築した交通情報データ、道路ネットワークなどを対象に、引き続き解析を実施する。そのため、昨年度までに調達したnVIDIA社製GPUを用いたGPGPUによる並列計算により高速な解析を実施する。これにより達成した高速化について、従来型の解析手法と比較を行う。またこれまで遂行してきた研究の過程で、現実に行われている都市内配送の再現モデル構築についても取り組んできたこともあり、本研究により得られた経路ポートフォリオを用いた都市内配送の効果について、現実に行われている都市内配送との比較を行うことで、より現実的な効果の計測についても試みる。 最終的に本研究の成果をまとめ、公表することとしている。
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