Research Abstract |
本研究は,屋外広告物の都市景観への影響,現行の規制誘導・活用施策による効果を客観的に把握するとともに,現行の施策の意義と問題点・限界を明らかにすることで,良好な都市景観形成に向けた,より効率的かつ効果的な屋外広告物施策を提案することを目的としている. 研究実施計画に基づき,本年度は,京都市をはじめ,神戸市・金沢市・パリ市・ローマ市など,国内外の事例に基づき,屋外広告物に起因する都市景観上の課題を把握するとともに,屋外広告物の規制誘導・活用施策について,沿革と概要を整理し,掲出地域,高さ,面積,形態,意匠などの類型別に屋外広告物のデータベースを構築した.これにより,それらの特長・問題点・限界を整理し,現在抱えている課題を明らかにした.また,2007年に導入された京都市新景観政策により,屋外広告物の規制が強化された,京都市の主要幹線道路沿いの屋外広告物について,その設置状況に関する実態調査を実施し,GIS(地理情報システム)を活用して空間情報データベースを構築した.これにより,屋外広告物の種類,量,分布などに関する現況を空間的かつ定量的に把握し,その傾向を明らかにした. 今後は,市民・事業者を対象にした意識調査等を実施するとともに,面積・形態・色彩・意匠・掲出場所によって異なる屋外広告物の都市景観に与える影響や,屋外広告物の規制誘導・活用施策の都市景観形成効果を定量的に検証できる評価フレームを確立し,調査によって得られた実証データに基づいて定量的に分析する.これにより,より効率的かつ効果的な屋外広告物施策を提案するとともに,良好な都市景観形成のための屋外広告物ガイドラインを提示することを目指す.
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