Research Abstract |
株式会社クロス・マーケティングを通じてウェブ・アンケート調査結果を分析した。全国の100万人超のモニターの中から,各県の世帯数比に応じて,一戸建ての家屋を所有し耐震改修を行った経験のない1200世帯を抽出した。主な質問内容は,世帯属性,家屋属性,地震の主観確率,地震発生時における耐震補強前,補強後の家屋損壊の主観確率,耐震補強に対する支払意志額である。本調査では,まず,学歴や職業,年収,資産などの個人属性と築年数や家屋構造などの家屋属性を尋ねた。つづいて,内閣府の地震調査研究推進本部の作成した確率論的地震動予測地図を回答者に提示し,震度6弱,6強,7の地震が発生する主観確率を尋ねた。 震度6弱,6強,7の地震が発生した時,家屋が一部損壊する確率,半壊する確率,全壊する確率を尋ねた。つづいて,耐震診断の評点の意味と耐震補強の工法について説明した後,「倒壊しない」(総合評点1.5以上)という評価まで耐震補強した場合の家屋の損壊確率を各震度と各損壊程度でそれぞれ尋ねた。 最後に,耐震補強に対する支払意志額を尋ねた。耐震補強の効果の曖昧性が支払意志額に及ぼす影響を計測するため,仮想的な2つの耐震補強シナリオを用意した。それぞれ別の回答者に提示した。一つは,「倒壊しない」(総合評点1.5以上)という評価まで耐震補強するという通常のシナリオである。もう一つは,耐震補強を実施すれば,その後の地震で被害を被った場合,元の姿に無料で立て直すという保証サービスのある耐震補強シナリオである。1200人の回答者を600人ずつに分け,それぞれに一つのシナリオに対する支払意志額を尋ねた。支払意志額は2段階2肢選択方式で尋ねている。その結果,保証付き耐震補強の価値は大幅に高まっていることが明らかになった。
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