Research Abstract |
本研究は,平成22年度において,中山間地域に位置づけられるいわき市三和町を対象として,コミュニティ形成の実態について明らかにすることを目的とするものである。具体的には,町内11の大字(地区)を単位として現存するコミュニティの実態について調査し,それを維持・継承しているシステムを明らかにする。併せて,消失したコミュニティを抽出して整理し,その消失過程を明らかにする。 文献と住民に対するヒアリングを通した社会調査・分析により,現存するコミュニティについては,起源を基に分類した結果,三和町全体としては,「神社祭典」が38,「伝統行事・祭り」が96,「その他・行事」が152であり,3つの分類の下に合計286と数多くのコミュニティが現存していることがわかり,また地区毎にみる存在形態も明らかとなった。さらに,社会調査により抽出することのできたコミュニティの活動と拠点となる場所・施設についての空間調査・分析により,合計178ある拠点について「神社・仏閣」99,「自然・公園」51,「公共施設」28の3つに分類し,地区毎にみる分布形態を明らかにすることができた。両者の調査・分析を通しては,コミュニティの分布と活動拠点との関係をみることにより,地区同士の繋がりを明らかにすることができた。現段階で「御塚神社」を拠点とする山岳信仰のコミュニティ,農耕作業を起源とする農耕儀礼のコミュニティ,女性の集うコミュニティについてその広がりと支える主体や活動内容について明らかにすることができた。 以上の現存コミュニティに関する調査・分析を通しては,人口減少及び少子高齢化を原因とする消失コミュニティの存在についても明らかにすることができ,ここでもその分布形態を通して地区同士のつながりを明らかにすることができた。
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