2010 Fiscal Year Annual Research Report
自動車運転時における低速領域の注意喚起量による交通空間評価の試み
Project/Area Number |
22760402
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Research Institution | Toyota Transportation Research Institute |
Principal Investigator |
三村 泰広 公益財団法人豊田都市交通研究所, 研究部, 主任研究員 (20450877)
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Keywords | 交通安全 / 注意喚起 / 眼球運動 / 運転挙動 / 低速領域 |
Research Abstract |
本研究は近年課題となっている歩行者事故、低速領域事故の効果的削減に向けて、自動車運転者の自発的な安全行動である"注意"に着目し、どのような交通空間が運転者の注意を喚起するかを把握し、注意喚起量からみた交通空間の評価を行うことを目的としている。 まず、交通空間の評価を行う際の既往研究の整理による調査指標の選定を実施した。その結果、空間構成要素によるもの、住民・利用者の意識を加味するもの、運転者の心理的・生理的反応を考慮するものなどに分けられることがわかった。これにより、本研究が心理的・生理的反応を考慮する研究に近いスタンスを取っていることを確認した上で、既往研究で用いられる生体反応は、主に運転者の緊張感といった「受動的反応」を扱っていると考えられるのに対し、運転者の「能動的反応」に近いと考えられる「注意」という指標に着目している点が特徴である点などを整理した。 また、注意量を計測するための眼球運動の特性について整理した。その結果、静止する対象物を見るときに注視を移す跳躍運動であるサッカードを注意量計測の一指標として捉え、発生頻度によっては運転者の情報量を減少させるため、交通安全上望ましくない点を示唆し、サッカード発生頻度から注意量を整理する有効性を示した。 そして、既往調査のデータ等を用いて運転時のサッカードの特徴を整理した。その結果、サッカードの発生頻度分布はポワソン分布に近似した分布曲線を持つこと、被験者に限らず左折中、右折中のサッカード発生頻度が直進中や停車中のものより多いことなどを明らかにし、道路空間の評価時においてはその影響を考慮する必要があることなどを示した。
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