2011 Fiscal Year Annual Research Report
自動車運転時における低速領域の注意喚起量による交通空間評価の試み
Project/Area Number |
22760402
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Research Institution | 公益財団法人豊田都市交通研究所 |
Principal Investigator |
三村 泰広 公益財団法人豊田都市交通研究所, 研究部, 主任研究員 (20450877)
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Keywords | 交通安全 / 注意喚起 / 眼球運動 / 運転挙動 / 低速領域 |
Research Abstract |
本研究課題は近年課題となっている歩行者事故、低速領域事故の効果的削減に向けて、自動車運転者の自発的な安全行動である"注意"に着目し、どのような交通空間が運転者の注意を喚起するかを把握し、注意喚起量からみた交通空間の評価を行うことを目的として実施した。ここでは、運転者における注意喚起の判断基準として、運転挙動、身体挙動(眼球運動)、注意箇所認知に注目した。まず、様々な交通空間において、運転者がどのような運転挙動(走行挙動等)、眼球運動(特に断続性運動)、さらに注意箇所への認知を行うのかを把握した。次に、それらの注意傾向と交通空間構成要素の関連性を把握することで注意喚起量を算定するモデルを構築した。最後にそのモデルを用いた注意喚起量による交通空間の評価を試みた。 運転挙動の視点からは、特に注意行動量としてブレーキ挙動(回数)に着眼し、特に低速領域となる空間を多く含むと想定される生活道路におけるブレーキ挙動の原因と考えられる空間要素や個人特性について解析およびモデル化を試みた。その結果、多枝交差点や高架下など特に視界確保が困難と考えられる空間要素が運転者のブレーキ挙動に与える影響が大きいことがわかった。また個人特性から注意行動量としてのブレーキ回数を推定するために構築したモデルから、ブレーキ回数は特に運転者の運転時の攻撃性といった性格に大きく関係していることもわかった。 また注意指摘量の視点からは、生活道路における危険認知の原因となっている対象と理由を説明変数、箇所単位に集計された危険指摘数を目的変数とした重回帰分析による危険指摘数の推定モデルを比較的良好な精度で構築することができた。その結果、「交差点」や「優先関係不明瞭」が個人の特に危険指摘数に与える影響が大きいことがわかった。
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