2011 Fiscal Year Annual Research Report
地盤のせん断ひずみ履歴を考慮した杭の地盤反力バネ剛性評価手法の構築
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22760415
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 比呂子 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (60401527)
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Keywords | 杭 / 地盤剛性 / 液状化 / せん断履歴 |
Research Abstract |
地震時における地盤反力のバネ剛性低減係数と地盤の繰り返しせん断履歴にともなう剛性の変化の関係を明らかにし、設計に取り込める指標を構築するため、以下を実施した。 前年度の研究では、振動台実験結果より、液状化地盤において相対変位が増大すると有効応力が回復することにより地盤剛性が大きくなるが、地盤のせん断ひずみが蓄積されると地盤剛性が低下し、その傾向は密度の低い地盤でより顕著であることを示した。これらの変化を評価するため、せん断ひずみの振幅の大きさと繰り返し回数を用いた指標を作成し、間隙水圧上昇後における地盤剛性の評価を試みた。しかし、せん断ひずみは、間隙水圧上昇後では、上昇前に比べて著しく増大するので、間隙水圧上昇前と上昇後を同一の指標で評価することができなかった。 そこで、本年度は、水圧の蓄積を検討する際に用いられる累積損傷度の考え方に習い、せん断応力を算出し、せん断応力の繰り返し回数で剛性低下の評価を試みた。実験では地盤のせん断応力を直接計測することが難しいため、地盤の加速度からせん断応力を算出した。せん断応力の振幅の繰り返しを損傷度と定義し、損傷度が大きくなると、地盤の剛性が低下するものとした。なお、損傷度に応じて、無次元化相対変位と剛性の低減が表せ、また、その密度によっても異なる。せん断応力の繰り返しとして定義することで、間隙水圧の上昇過程から、間隙水圧が上昇した後、液状化に至ったたに剛性が低下するまでを再現することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年に発生した東北地方太平洋沖地震により、関東近郊で液状化による被害が多く見られた。液状化による建物被害は、直接基礎の戸建て住宅だけでなく、杭基礎構造物にも生じた。これらの被害を調査することは、本研究および、今後の研究にも重要と考え、被害調査、それらの被害分析等を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たるため、研究を引き続き推進するとともに全体の取りまとめを行う。また、2011年の東北地方太平洋沖地震で液状化地盤において杭が被災した事例に関して、本研究で提案する手法が妥当であるか、検証を行う。
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Research Products
(3 results)