2010 Fiscal Year Annual Research Report
歴史的煉瓦造建築物の意匠性と施工性を考慮した鋼板耐震補強法の開発
Project/Area Number |
22760417
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
多幾山 法子 京都大学, 工学研究科, 助教 (10565534)
|
Keywords | 歴史的煉瓦造建築物 / 耐震補強 / 常時微動計測 / 固有振動数 / 振動モード形状 / 減衰定数 |
Research Abstract |
本研究は,文化遺産も含めた歴史的煉瓦造建築物の意匠性と施工性を重視した耐震補強法の確立へ向けて,鋼材を用いた耐震補強法に着目し,一連の調査と解析,実験を行うものである。 歴史的煉瓦造建築物の耐震改修事例は数例存在するが,実際に確保できる耐震性が不明確であり,評価法が未確立である場合が多い。また,様々な耐震補強法を模索する研究事例は存在するが,耐震補強を行うにあたり,必要な構造的特徴が知られていない。更に,国宝や重要文化財などの歴史的煉瓦造建築物の耐震補強においては,文化的価値の保存が最優先事項であるため,外観などを可能な限り変更しないことに対する要望が極めて高い。補強効果や安全性を簡便かつ的確に評価する手法や過度な補強や耐力不足を効率的に回避できる補強計画手法を確立できれば,国宝や重要文化財などの歴史的煉瓦造建築物の耐震改修の促進に一役買うことができると期待される。 昨年度は,煉瓦壁の構造的特徴のうち振動特性に着目した研究を行った。実在の歴史的煉瓦造建築物の補強煉瓦壁と無補強煉瓦壁を対象とした常時微動計測を実施し,煉瓦造建築物の固有振動数や振動モード形状,減衰定数などのデータを得た。また,固有値解析による調査結果との比較・検証や,壁の諸寸法に基づく煉瓦壁の面外方向固有振動数の略推定式を提案した。その成果は,現在執筆中である。 今年度は,提案する形式で補強された煉瓦壁の面外方向の挙動に関する静的実験を通じて補強煉瓦壁の破壊モードの解明と強度・変形性能の定量化を行う。次に,補強効果評価式の提示を行う。更に,設計時に必要な耐力を決定する。
|