2011 Fiscal Year Annual Research Report
歴史的煉瓦造建築物の意匠性と施工性を考慮した鋼板耐震補強法の開発
Project/Area Number |
22760417
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
多幾山 法子 京都大学, 工学研究科, 助教 (10565534)
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Keywords | 歴史的煉瓦造建築物 / 耐震補強 / 常時微動計測 / 固有振動数 / RC耐震壁 / 鉄骨フレーム / 振動モード形状 |
Research Abstract |
本研究は,文化遺産も含めた歴史的な煉瓦造建築物の意匠性と施工性を重視した耐震補強法の確立へ向けて鋼材を用いた耐震補強法に着目し,一連の調査と解析,実験を行うものである。 前年度は無補強煉瓦造建築物を対象として振動計測を実施し,煉瓦壁の固有振動数や振動モード形状,減衰定数などのデータを得た。また,調査建物を対象として固有値解析を行い調査結果の比較・検証をすると共に,厚板理論を参考に,壁の諸寸法に基づく煉瓦壁の面外方向1次固有振動数の略推定式を提案した。その成果は昨年度中に査読付きの日本建築学会構造系論文集に採用され,今年3月に掲載されている。 昨年度は,無補強建物の結果を踏まえ,補強煉瓦造建築物の振動特性を把握するため,鉄骨補強を施した建物とRC壁を施した建物を対象として常時微動計測を実施し,補強前後での振動特性(固有振動数・振動モード形状・減衰定数)の変化を把握した。鉄骨フレームとRC壁の増設ではどちらの場合も壁の面外固有振動数が増加するため,剛性を上げることができていると推測できるが,鉄骨フレームの増設では壁の面外振動の振幅を抑えられていない。一方,RC直交壁の増設をした場合は,煉瓦壁が面外へはらみだす振動モード形状の振幅が抑えられることがわかった。これらの成果は国際会議論文として現在まとめている。また,小型振動台を用いたデモンストレーションや,固有値解析を用いた補強効果の比較・検証を進めており,補強形式の変化による振動特性の変化を把握し,これまでの成果を含めて査読付き論文にまとめる予定である。
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Research Products
(2 results)